2017 Fiscal Year Annual Research Report
The "progressive" Schubert-Interpretation: Adorno, Schoenberg, Scherchen
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16H06920
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 真季子 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (40782214)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | フランツ・シューベルト / ヘルマン・シェルヘン / アーノルト・シェーンベルク / テオドール・アドルノ / 両大戦間期 / 作品受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シューベルト作品に対する評価の転換点として、両大戦間期のシェーンベルク・サークルに着目するものである。具体的には思想家テオドール・アドルノ、作曲家アーノルト・シェーンベルク、指揮者ヘルマン・シェルヘンを取り上げ、彼らがどのようにシューベルトを肯定的に評価したのか、彼らのシューベルト理解が戦後どのような波及を見せたのかを明らかにすることが本研究の目的である。 本年度は、シェーンベルクのシューベルト解釈を考察すべく、シェーンベルク・センター(ウィーン)所蔵のシューベルト楽譜における彼の書き込みを調査した。これについて、日本音楽学会第68回全国大会で研究発表を行い、彼がシューベルトの音楽にモチーフの並列やリズムの反復といった「ポピュラー性」を指摘しつつ、単純な反復の中に生み出される不規則性や遠隔調領域の並置にその独自性を認めていたことを明らかにした。そうした「発展的変奏」とは異なる音楽原理を持つ音楽として評価しようとする姿勢は、アドルノの「シューベルト」(1928)にも見られるものである。 また前年度の調査で収集した資料を精査し、シェルヘンがシューベルトの交響曲を論じた未出版の原稿「シューベルト・ブック」について、『音楽学』にて論文を発表した。論文では、彼がシューベルトの音楽に独自の構成原理を見出していたこと、彼の解釈に戦後の作曲における問題意識に通じる観点、語彙が見られることを示した。 さらにシェルヘンがストラスブールなどで「シューベルト・ブック」執筆と同時期に行った音楽講習会に関する調査から、若手指揮者の指導にあたり同時代作品が積極的に取り上げられる一方で、教材として使用された古典作品の中にシューベルトの交響曲も含まれていることが分かった。このことは、次世代の指導の中で、彼のシューベルト解釈がどのように伝えられていったのかを検討するうえで重要な手がかりと言える。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)