2017 Fiscal Year Research-status Report
病的やせを伴う摂食障害の病態解明と新規治療法に関する研究
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16K10211
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 聡 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00456675)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 精神医学 / 摂食障害 / VBM |
Outline of Annual Research Achievements |
神経性やせ症(AN)のMRI脳画像の形態学的変化を検討し、この変化が症状や病態生理とどう関連しているのかを明らかにした。52例(摂食制限型AN7例、過食排出型AN13例、特定不能の摂食障害3例(以上、患者群)、健常者29例)のMRI画像(T1強調画像)を対象として、VBM技術により患者群と健常者群とで灰白質容積を比較した。なおその際、年齢とBMIを共変量として設定した。さらに、灰白質の局所容積と、質問紙検査(Eating Disorder Inventory-2; EDI-2)による「Drive for thinness; やせ願望」指標・「Body dissatisfaction; 身体への不満足」指標との関連を検討した。年齢とBMIを共変量にすると、患者群では上・中側頭回、視床枕、上前頭回の容積低下が認められた。年齢を共変量にすると、患者群では上・中側頭回、中前頭回、帯状回の容積低下が認められた。患者群のみにおいて、右上側頭回の容積と「身体への不満足」指標との間に負の相関がみられた。これらの結果からは、上側頭回などいくつかの領域の灰白質容積の減少は、視空間認知の障害に起因して、「身体への不満足」指標の増強と関連し、ANの病態に関連することが示唆された。 なお、この結果は、査読付き国際専門誌に投稿・掲載された(Psychiatry Research: Neuroimaging 267(2017)51-58)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今期は予定していた健常者データの追加が年度遅れで行われた。合わせて、既存データの解析は行われ、英文国際誌への投稿も一編行われた。これらにより、当初の予定より進捗はやや遅れているとみなされる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、ここまでに集約されたデータの解析と、その結果についての対外発表にマンパワーを集約する。具体的には、生理活性物質と神経性やせ症の症状形成との関係などを予定している。
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Causes of Carryover |
予定していた健常者からのデータ採取について、マンパワーの問題から数をやむを得ず縮小(予定数10例、実績7例)したため、MRI撮影の際の機器使用料および健常ボランティアへの謝金について予定からの残が生じた。次年度においては、これらは既存データの解析にかかる費用(具体的には、一部解析用機器の経年劣化に伴う更新など)および、論文投稿に係る費用に充当する予定である。
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Research Products
(5 results)