2019 Fiscal Year Annual Research Report
A research for elucidation of mechanisms of eating disorders with pathologically reduced weight and developing novel therapy
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16K10211
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 聡 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00456675)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 神経性やせ症 / 回避・制限型食物摂取症 / 精神医学 / 飢餓 / 栄養 / 脳構造画像 / 生理活性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
低栄養状態にある患者データ19例(予定20例)および、比較用の健常者データ11例を追加し、解析対象とした。 国際専門誌(査読付き)での論文発表としては以下4本。(1)患者群における脳MRI画像の特徴として、低栄養条件で脳の広い領域が容積低下を来すことを確認し、摂食障害の精神病理(身体不満足)と関連する領域を特定した。また、低体重の影響を統計的に除外しても容積低下が認められ、摂食障害患者の視覚情報処理機能の障害と関連するtraitの脳内基盤の可能性を指摘した(責任著者)。(2)血中生理活性物質のひとつであり、齧歯類において慢性ストレスへの耐性との関連が指摘されているIL-18に注目し、患者群では健常者に比べて血中濃度が低下しているとともに、健常者ではみられる血中濃度と体格指数との正の相関が、患者群では消失していることを明らかとした(筆頭著者・責任著者)。(3)一般学生から摂食障害患者をスクリーニングする際に、自記式質問紙と自己申告の身長体重のバッテリーを用いたが、有効ではなかったことの報告(共同筆頭著者・責任著者)。(4)低栄養患者の再栄養療法の際にしばしば発生する肝障害について関連する因子を検討し、栄養療法のあり方は関与していないことを明らかとし、再栄養療法のプロトコルの合理化を行った(責任著者)。 これらを通じて、摂食障害の病態についてその一部分ではあるが解明に資することができており、治療マニュアルの改訂も行っている。当初の研究目的はおおむね満たされた。 ほか、日本語の原著論文(共著)1本および解説論文(単著)1本を発表。コメディカル向けの精神医学の教科書を分担執筆。国内および国際学会において、筆頭及び共同演者として期間内に10件の口頭発表を行っている。
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