2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10878
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
白濱 正博 久留米大学, 医学部, 教授 (90196626)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨折治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究意義・重要性】現在行われている骨折治療はチタンなどの金属プレートやワイヤーで骨を直接固定する内固定が 一般的で、粉砕骨折や固定螺子を挿入できないような小さな骨片に対しては放置しているのが現状である。本研究では、九州工業大学 金子大作氏が開発した、植物由来接着剤(以下バイオボンド)を用いて、骨に対する生体親和性を立証し、世界初の骨接合用の接着剤としての可能性を検証する事である。これにより、より解剖的に正確な整復と、強固な初期固定を獲得できることが期待できる。さらに現状で整復・固定できなかった骨折も固定ができるようになる可能性があり、骨折治療を劇的に変える可能性があると考える。 【具体的内容】 in vitro:SDラット頭蓋骨由来の骨芽細胞(コスモバイオ社)を培養し細胞障害性の有無をMTT試験、bond上で骨芽細胞を24時間培養し細胞形態観測を行った。 in vivo:10週齢の雄のWister Ratの麻酔下で皮膚を切開し大腿骨を露出させ、骨剪刀で横骨折を作成し、髄内にアライメントを整えながらKワイヤーを挿入し以下の接着剤としてバイオボンド、エチル2シアノアクリレート(商品名:アロンアルファA),2-オクチルシアノアクリレート(商品名:Dermabond)を塗布し、contorolとしてKワイヤー固定のみの4群を比較した。 検討項目は4週、8週、12週で屠殺し、癒合状態を確認するためにCTを撮像し骨癒合状態と経時的変化を確認、3点折り試験を行い骨強度を測定した。また、組織学的所見として、HE染色、ヴィラヌエバ染色を行い、骨代謝状態の観察も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エチル2シアノアクリレート,2-オクチルシアノアクリレートは塗布後に空気中や組織中の水分と重合することにより接着力を発揮するため、in vitroにおける固定性は良好であった。一方でバイオボンドは合成する際にすでに重合されているため、湿潤環境では本来持つ接着力を発揮しにくく、接着後も骨折部からの出血や周囲の軟部組織の湿潤環境により固定後にすぐに外れてしまう事象がおこった。 またバイオボンド自体の融点が非常に高く、190℃を要することもあり、骨細胞壊死を引き起こしている可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に挙げた問題点を改善するために、九州工業大学とミーティングを重ね、今後バイオボンドの融点をを下げる組成を検討していただくこと。バイオボンドのハンドリング向上のために半田コテのように加熱しながら塗布できる器具を用いたり、専用のハンドガンを開発していただく方針としている。また。湿潤環境下でも化学合成接着剤と同等の接着力を持たせるたために。バイオボンドに親水基を付加させることや、親水性のアルギン酸ナトリウムなどを混ぜて接着することを検討している。 これらの性能が改善すれば、生体応用へ十分可能性があるものと考えられた。
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Causes of Carryover |
使用予定であった抗体の購入を見送ったっため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用計画は昨年度の予定と変更はありません。
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