2016 Fiscal Year Research-status Report
心理社会的ストレスにより分泌されるタンパクの新たな生理的意義
Project/Area Number |
16K13030
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
志内 哲也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (70372729)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ストレス / 代謝 / 行動 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
過度な精神的ストレスは、過食になるとともにエネルギー消費が増大する。このような精神的ストレスは身体をも蝕むと言われているが、その理由およびメカニズムは不明である。本研究では、ヒトの心理社会的ストレスを模したマウスの実験系を用いて、ストレスにより生じる社会回避行動と過剰になったエネルギー消費の関係に着目し、その分子メカニズムと生理的意義を解明することを目的とした。 本実験では、心理社会的ストレスを模倣した「社会敗北性ストレス」を、実験用マウスである雄性C57BL/6Jに対して与えた。攻撃用マウスとしてはC57BL/6Jより大きく気性が荒いICR系統の雄性リタイアマウスを用いた。また、ストレス負荷法および釈迦回避行動の計測は、我々が発表した方法を用いた(Otsuka A, Shiuchi T et al. 2015 Physiol & Behav.)。その結果、ストレス開始3日後から社会回避行動を生じるとともに、既知の分泌タンパク”F”の血中濃度が著しく上昇することを突き止めた。この分泌タンパク”F”が分泌される臓器は様々であるため、組織網羅的な解析を行った結果、肝臓においてストレス後におけるmRNA発現の増強を認めた。さらに、この分泌は一過性であり24時間後にはベースラインに戻ること、最初のストレス負荷時と比較すると、3日(3回)以上継続したストレスにより分泌量が多くなることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分泌タンパク”F”の責任臓器が肝臓である可能性を見出した。 また、”F”の遺伝子欠損マウスを搬入し、繁殖に成功しているため、平成29年度からは当初の計画にはなかった遺伝子欠損マウスを用いた新たな実験が可能な状況にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、どのような刺激で”F”が分泌されるのか、ストレス負荷後に分泌される”F”は何のために分泌されているのか、について検討を行う。 また、遺伝子欠損マウスを用いて、心理社会的ストレスに対する応答を調べ、分泌タンパク”F”の生理的意義について検討を進める。
|
Causes of Carryover |
当初の計画になかった遺伝子欠損マウスを使えるようになり、野生型マウスの実験もlittermatesで行ったほうが良いため、実験を順延させたことが理由となる。本年度はマウスの交配や繁殖、ジェノタイピングにかかる物品・人件費は使用したが、それ以外の物品費などは実験を行う来年度へ繰り越すことにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画していた実験を行うための物品費に用いる。予定していた実験よりもマウスの種類が増えるため、その分だけ物品費が増やす必要がある。
|
Research Products
(3 results)