2016 Fiscal Year Research-status Report
博士課程出身の大学非正規職員に関する探索的研究:高学歴ワーキングプアか新専門職か
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16K13554
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 不二雄 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (10363540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 和弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (30397921)
立石 慎治 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 研究員 (00598534)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育政策 / 高等教育 / 大学院 / 博士 / 非正規雇用 / 大学職員 / 大学教員 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学の経営・教学境界領域の専門職化が進む英国への訪問調査を実施し、大学の経営と教学を橋渡しする新たな専門職に関する先駆的研究を行ってきたWhitchurc博士(UCL Institute of Education, University College London)及び博士・ポスドク等のキャリア支援・関連調査等を行う全英プログラムVitaeの最高幹部(Head)との面接調査及び資料収集を通じ、英国の大学における博士課程出身専門職等の現状と展望について、最新の情報と専門的な知見を得ることができた。 国内・海外の関連文献調査を行った。 英国・豪州の高等教育における教職員の能力開発等についてSDに関するフォーラムで発表を行った。 国内の既存調査データとして、科学技術・学術政策研究所の「博士人材追跡調査」及び「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査」の調査結果の公表データを精査し、本研究の調査設計の参考にするとともに、本研究の目的にとって重要でありながら、これら既存データでは明らかにされていない情報を確認した。 研究代表者及び研究分担者による研究打合せを行い、インターネット調査の調査項目案を作成した。 調査項目案の作成に当たっては、博士課程出身(修了又は満期退学)の大学非正規教職員(任期付。常勤・非常勤を問わず。)が、従来の非常勤講師やポスドク研究者に加え、近年、例えばリサーチ・アドミニストレーター(URA)や学習支援スタッフなど、研究支援、教育開発・学生支援、産学・地域連携、国際化等、経営・教学境界領域において多様なプロジェクト業務に従事する者が増加し、雇用形態や職務が多様化している状況を踏まえ、増大・多様化する博士課程出身の大学非正規教職員の全体像、特に経営・教学境界領域における多様な職について、雇用形態、職務、キャリア意識等の実態を探索するできるよう、検討・協議を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的にとって示唆を与える関連研究の第一人者であるWhitchurc博士(UCL Institute of Education, University College London)から有益な知見を得るとともに、今後の研究協力に向けた関係構築を行うなど、日本に比べて先行する海外の研究動向を詳細に知ることができた。 また、Vitaeの最高幹部(Head)との面接調査及び資料収集により、英国において大学の経営・教学境界領域の専門職化とこれら専門職への博士の採用が想像以上に進んでいる実態を把握することができた。 さらに、国内の既存調査データの精査により、本研究の目的にとって必要かつ欠けている情報を明確化できた。 研究代表者及び研究分担者の研究打合せ等による検討・協議の結果、調査項目案を作成することができた。 以上の成果により、インターネット調査の実施等、今後の研究の推進への道筋が見えている。 なお、予備調査としての事例調査等は未実施であるが、海外での先行研究のレビュー及び国内の関連データの精査等を優先することとしたためであり、今後、適時適切な方法で取り組みたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度には、28年度の研究結果を踏まえ、綿密に調査を設計した上で、調査会社(価格、学術調査の経験、モニターの特徴等を考慮し選定)に委託してインターネット調査を実施する。 なお、事例調査等(博士課程出身の大学非正規職員等に対するインタビュー調査等)については、適時適切な方法での取組を検討する。 また、研究の進捗に応じた関連文献調査を行う。 以上により、博士課程出身の大学非正規教職員の全体像、特に経営・教学境界領域における多様な職について、雇用形態、職務、キャリア意識等の実態を探索することができるよう、調査及び分析・考察を進めていくこととする。
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Causes of Carryover |
予備調査としての事例調査等は未実施であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
事例調査等(博士課程出身の大学非正規職員等に対するインタビュー調査等)について適時適切な方法での取組を検討するとともに、インターネット調査及び文献調査等を含む経費全体の適切な執行計画の中で次年度使用額を有効活用することとする。
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Research Products
(3 results)