2016 Fiscal Year Research-status Report
Innovative development of DDS for microRNA therapeutics by an application of anti-PCSK9 antibody
Project/Area Number |
16K14630
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん / マイクロRNA / 核酸抗がん薬 / DDS / 脂質ナノ粒子 / PCSK9 / LDLR / LNP |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸医薬の臨床応用には、安全かつ効率的なDDS(Drug Delivery System)の開発が必須である。脂質ナノ粒子(LNP; Lipid nanoparticle)は、LDLレセプター(LDLR)を介したエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ、内包した薬物や機能分子を運搬する。高脂血症の治療剤として注目されている抗PCSK9抗体はPCSK9の機能を阻害して細胞表面LDLRの過剰発現およびコレステロールの細胞内取り込みを促進する。本研究ではこの両者を結びつけ「抗PCSK9抗体により、細胞表面LDLRの過剰発現を介してLNPの効率的な取り込みを促進させる」という独自の発想のもと、我々が特定した強力な細胞死誘導性がん抑制miRNAのmiR-634単独、あるいは既存抗がん薬(CDDPなど)とのコンビネーション(合剤化)を内包させたLNPを用いて、安全かつ効率的なDDSの開発を目的に研究を実施した。LNPはエーザイ株式会社独自開発を利用した。 平成26年度は、各種がん細胞株におけるLDLR発現状況を確認した。また、(1) LDLR発現と蛍光物質内包LNP取り込み、(2)siRNAによるLDLR発現抑制有無とLNP取り込みの強弱、(3)LDLR介在LNP細胞内取り込みとApoE存在関連性、(4)抗PCK9抗体処理LDLR発現安定化、(5) LNP細胞内取り込みの差異の確認、(6) がん抑制miR-634単独内包LNPのがん細胞死誘導性効果などを確認した。miR-634内包LNPはリポフェクタミン内包時と同レベルでがん細胞死誘導効果が示された。平成29年度は、抗PCSK9抗体処理効果による(miR-634+CDDP)内包LNPのLDLR介在エンドサイトーシス促進とin vitro/ in vivoにおけるがん細胞選択的マイクロRNA抗がん核酸薬DDS技術の有効性確認を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝細胞がん、胃がん、食道扁平上皮がん等の各種がん細胞株においてLDLR発現状況を確認した。その上で、(1) LDLR発現と蛍光物質内包LNP取り込み、(2)siRNAによるLDLR発現有り、発現無しの状態下でのLNP取り込み状況の確認、(3) in vitro培養液ApoEの含有とLDLR介在LNP細胞内取り込みの強弱関連性、(4)抗PCK9抗体処理LDLR発現の安定性、(5) 抗PCK9抗体処理の有無とLNP細胞内取り込みの差異の確認、(6) がん抑制miR-634単独内包LNPのがん細胞死誘導性効果などを確認し、miR-634内包LNPはリポフェクタミン内包時と同レベルでがん細胞死誘導効果が示された。今後、抗PCSK9抗体処理の有無による「miR-634+CDDP」内包LNPのLDLR介在エンドサイトーシス促進をin vitro/ in vivoで確認し、抗PCSK9抗体処理によるがん細胞選択的マイクロRNA取り込みアジュバント技術による抗がん核酸薬DDSの有効性確認を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
新規化合物発見=新薬開発の創薬コンセプトには限界がある。この状況を打破するものとして抗がん核酸薬、特に、マイクロRNA mimicsの臨床応用が期待されており、今回研究の成果はこれに対応する。核酸薬の問題点には、安定性(ヌクレアーゼ分解)、膜透過性不良、補体活性毒性などがありそれらの克服には、核酸薬を「必要な時に、必要な場所に、必要な量だけ」デリバーできるDDSの開発が必須である。PCSK9阻害剤の処理により「標的がん細胞膜LDLRを介したエンドサイトーシス促進に基づく脂質ナノDDSの細胞内取り込み向上化」を図る着想と方法は期待できる。実際、 平成28年度の実績では、がん抑制miR-634単独内包LNP処理において、リポフェクタミン処理と同様に、がん細胞死誘導効果が確認できた。今後、がんのみならず多くの難治性疾患治療薬としての期待がかかる核酸医薬の実用化のブレークスルーとなる可能性も期待できるために、さらに各種条件下でin vitro/ in vivo研究を行い、DDS効果を確認する。
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Research Products
(7 results)