2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17015039
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
新津 洋司郎 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10045502)
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Keywords | 大腸癌 / ACF / 予防 |
Research Abstract |
【目的】 我々はこれまで、拡大内視鏡を用いてヒトのaberrant crypt foci(以下ACF)を観察し、ACFがadenoma-carcinoma sequenceのprecursorであること、ACFには既にK-ras変異が高率に認められることを報告した(New Engl J Med 339, 1998)。ACFは腺腫の前病変であることから、ACFを標的とした発癌予防の臨床試験を行うことにより、短期間にかつ安全に予防効果を評価しうると考えられる。本年度は、まずACFにおける種々の遺伝子異常の解析を行った。 【方法と結果】 (1)ACFの観察 大腸ポリープ患者のポリープ及びACFを用いた。 (2)K-ras変異の解析 ACF及びポリープをmicrodisectionした後、DNAを抽出した。2-step PCR-RFLP法によりK-rasの点突然変異を検討したところ、ACFでは81%(34/42)、ポリープでは65%(20/31)に変異を認めた。 (3)APC変異の解析 In vitro synthesized protein assayによりAPC変異を検討したところ、ACFではいずれも変異を認めなかったが(0/15)、ポリープでは80%(8/10)に変異を認めた。 (4)β-catenin及びCOX-2の発現 β-catenin及びCOX-2に対するモノクローンナル抗体を用い、ABC法により免疫組織染色を行った。その結果、ACFではβ-cateninの発現は認められなかったが(0/21)、ポリープでは75%(9/12)に認められた。また、COX-2はACFにおいて発現を認めなかったが、ポリープでは80%(8/10)に発現を認めた。 (5)MSI キャピラリーゲルを用いたPCR SSCP法により6領域のMSIを検討した。ACFではいずれもMSI-Hを認められなかったが、ポリープでは15%にMSI-Hを認めた。 【結論】 ACFは、K-ras変異が高率に陽性であるが、他の遺伝子異常はないか、あっても低率であるこあが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)