2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17015039
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
新津 洋司郎 Sapporo Medical University, 分子標的探索講座, 特任教授 (10045502)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 哲治 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10284994)
|
Keywords | 大腸癌 / 予防 / ACF |
Research Abstract |
本研究では、われわれが既に報告した「大腸におけるaberrant crypt foci (ACF)がadenoma-carcinoma sequenceのaadenomaよりもさらに初期の小病変である」という所見(New Eng J Med 339, 1277~1284, 1998)を基に、ACFを標的として、短期間スリンダックを投与することでそれを消失させ、結果として大腸癌を予防できるという仮設を立て、実際に前年度までにこの仮設を実証して来た(J Clin. Oncology投稿中)。さらにACFでは活性型Kras(変異型)が発現しており、それがAPIを介してGlutathion S Transferase π(GST-π)を誘導すること(Gastroenteroloy)、そのGST-πがACFからadenomaへの進展をプロモートすることなどもin vitroおよびin vivo(GST-π KOマウス)で証明して来た(投稿準備中)。スリンダックよりもGST-πに特異性の高い薬剤O'-Hexadoを開発し大賜癌予防薬として有効であるかどうかをラット大腸癌発癌モデルで検討した結果アゾキシメタン(発癌剤)投与後、5~8週(ACFが形成される時期)に薬剤を投与したラットではACFの形成はとより、24週後の大腸癌の発生が有意により抑制されることを知った。 平成21年度はGST-πがどのような機序で大腸発癌をプロモートするのかを分子レベルで詳細に検討した(J Pharmacol Exp Ther)。その結果、GST-πはC-RAFに結合することで、同蛋白のユビキチン化を抑制し、そのダウンストリームシグナル(MEK, ERK)のリン酸化を高めること、つまりこれらのシグナルを促進することで糸胞増殖作用を発揮することが明らかとなった。このことは、将来的にGST-π阻害剤を臨床で用いることにより、特異性の高い、つまり臨床作用の少ない科学予防が可能なことを示唆していた。
|
Research Products
(8 results)