Research Abstract |
作用スペクトルによる光触媒反応の解析:光触媒を評価するのに作用スペクトルが最適であること,メチレンブルーの退色反応が光触媒活性の評価に不適当であることを明らかにした.さらに,従来ひろく行われてきたシャープカットフィルターにより得られる作用スペクトルは,真の作用スペクトルの積分スペクトルであることを示し,光触媒の吸収スペクトルには対応しないことを示した. 新規気相合成法による高活性酸化チタン光触媒の調製:気相中で微粒子を合成すると,粒子どうしの衝突による大粒子化を抑えることができるため,粒子の結晶性を向上させるために比較的高温で反応させても比表面積が極端に低下しない.塩化チタンと酸素の混合気体を急速に加熱,冷却することによって,高結晶性かつ大比表面積の酸化チタン微粒子を調製することに成功した.このアナタース微粒子光触媒は,(101)面と(001)面のみが露出した特異な十面体形状をもち,さまざまな反応系において高い光触媒活性を示すことを明らかにした.調製条件を変化させることによって粒径,比表面積,あるいは結晶形状などを制御できた. アナタース/ルチル混合酸化チタンからの各結晶相の単離と再構成:アナタース/ルチル混合酸化チタンの代表例であるデグサP25から両結晶相を単離し,これの粉末X線回折(XRD)パターンから酸化チタン中の両結晶相の定量法を確立した.その結果,相当量のアモルファス成分が含まれていることが明らかになった.定量結果にもとづいて,デグサP25を各相の単純な物理混合により再構成したところ,分離前とほぼひとしい物性,特性を示した.また,再構成サンプルの光触媒活性は,複数の反応系のいずれにおいてもデグサP25の光触媒活性とほぼひとしいことから,結晶粒子間の強い相互作用や電子移動は,もしあっても光触媒活性に影響をあたえないものと推察された.
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