2005 Fiscal Year Annual Research Report
脱髄性神経損傷に起因する難治性神経因性疼痛の治療標的分子の同定
Project/Area Number |
17109015
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
植田 弘師 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00145674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澄川 耕二 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60028660)
井上 誠 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60380987)
藤田 亮介 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70380855)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / 神経因性疹痛 / 脱髄 / ミエリン蛋白質 / LPA合成酵素 / ex vivo解析 / LPA産生 / スプラウティング |
Research Abstract |
本年度は大きく分けて以下の4つの項目に関する成果を得ている。 1)神経傷害時のLPA産生。LPA合成酵素の一つの候補分子に対するAS-ODN適用により神経傷害性アロディニア現象が抑制されること、そのリコンビナント蛋白質の適用により神経傷害様のアロディニア現象が誘発されること、並びにLPLD遺伝子発現が傷害後急速に増加することを見出した。これらの知見から、神経傷害後LPA産生がおこり、アロディニア現象の誘発に関与することが示唆された。また、脳脊髄液中のLPA濃度が神経傷害後に上昇することも予備実験的に明らかにしている。2)LPA 誘発性脱髄形成シグナル伝達機構。脊髄後根の切片培養によるex vivo脱髄評価系を確立し、in vivo同様、電子顕微鏡下でLPA処置により脱髄が誘発されることを確認した。また、数種のミエリン蛋白質分子群の蛋白質発現ならびに遺伝子発現がLPA適用により急速に低下することや、これらの変調がRhoAの活性化依存性であることも明らかにした。従って、LPAによる脱髄現象シグナル機構としてRhoAを介したミエリン蛋白質発現低下が大きく関与することが明らかになった。3)脱髄現象の部位特異性。坐骨神経傷害後のLPA感受性脱髄現象は脊髄後根に限局していることを見出した。一方、坐骨神経、脊髄神経、あるいは脊髄後根を用いた切片培養系においてはLPA適用によりほぼ同等な脱髄現象が観察され、さらに、それらの領域におけるLPA合成酵素ならびにLPA1受容体の発現量に大きな違いが認められないことも見出した。従って、in vivo評価系における神経傷害後の脱髄現象の部位特異性はLPA産生の部位限局性が大きく関与する可能性が示唆された。4)神経傷害時の触覚神経誤入カの証明。神経傷害後のアロディニア現象に関わる脱髄後の神経発芽(スプラウティング)現象をin vivoならびにex vivo評価系において、形態学的に電子顕微鏡下で確認した。また、触覚線維(Aβ線維)刺激に伴う脊髄活性化シグナルが神経傷害時に痛み神経(C, Aδ線維)刺激により認められる領域に新たに観察されることも明らかにした。さらに、この傷害時の触覚神経から痛み神経への乗り換えを証明するため、脊髄スライス標本を用いた各種神経線維刺激に伴うCaイメージング解析のための実験系の確立にも成功した。
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Research Products
(5 results)
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[Book] 治療学2005
Author(s)
木口倫一
Total Pages
40-42
Publisher
疼痛と受容体3 リゾホスファチジン酸受容体