2005 Fiscal Year Annual Research Report
疲労困憊に至る筋収縮後における筋疲労回復遅延の要因
Project/Area Number |
17300209
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
和田 正信 広島大学, 総合科学部, 教授 (80220961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 智 大阪市立大学, 体育学研究室, 講師 (70221588)
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Keywords | 筋小胞体 / 筋疲労 / グリコーゲン / カルシウム |
Research Abstract |
本研究の目的は,筋小胞体(sarcoplasmic reticulum ; SR)に焦点をあて,筋が疲労する要因を検討することである.本年度は,収縮活動に伴うSRの機能の経時的変化を検討するために,1〜30分間収縮を負荷したラット腓腹筋のSRの機能を測定し,以下の結果を得た. 1. Ca^<2+>放出速度は,腓腹筋表層部では収縮開始3分目以降,腓腹筋深層部では5分目以降低下することが認められた. 2. SR Ca^<2+>-ATPase活性は,腓腹筋表層部では収縮開始1分目以降,腓腹筋深層部では3〜5分目に低下することが認められた. 3. Ca^<2+>取り込み速度の変化は,腓腹筋表層部,深層部ともにSR Ca^<2+>-ATPase活性とほぼ同様であった. 4.腓腹筋表層部では,筋グリコーゲンとSR Ca^<2+>-ATPase活性およびCa^<2+>取り込み速度は,ほぼ同期して変化することが観察された. 5. Na^+-K^+ATPase活性は,腓腹筋表層部では収縮開始30分目において低下がみられたが,腓腹筋深層部では変化が観察されなかった. 以上の結果から,(1)同様の収縮活動が負荷されても,酸化的リン酸化能力の高い筋線維と低い筋線維とでは,SRの機能は経時的に異なる変化を示すことが明らかになるとともに,(2)SRのCa^<2+>取り込み能力が低下する要因の1つがグリコーゲンの減少にある可能性が示唆された.そこで(2)について検討するために,ラット速筋を用いさらに実験を行い,以下の結果を得た. 1.筋グリコーゲン濃度とSR Ca^<2+>-ATPase活性との間に相関関係はみられなかった. 2. SRに付着しているグリコーゲンを除去しても,SR Ca^<2+>-ATPase活性は変化しなかった. これらの結果から,筋グリコーゲンの減少はSRのCa^<2+>取り込み能力低下の素因ではないことが明らかになった.本年度の結果をふまえ,来年度は,(1)筋グリコーゲン濃度とSRのCa^<2+>放出能力との関係,および(2)収縮後の回復期間におけるSRの機能の変化について検討を進める予定である.
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Research Products
(1 results)