2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射線,温熱および超音波によるヘムオキシゲナーゼ-1誘導の分子機構
Project/Area Number |
17310032
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
近藤 隆 富山大学, 医学部, 教授 (40143937)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 良平 富山大学, 医学部, 講師 (60334736)
趙 慶利 富山大学, 医学部, 教務職員 (90313593)
田淵 圭章 富山大学, 生命科学先端研究センター, 助教授 (20322109)
|
Keywords | 超音波 / 温熱 / 放射線 / 酸化ストレス / アポトーシス |
Research Abstract |
超音波の細胞死は機械的作用による細胞破壊が主因とされてきたが、アポトーシスを起こすことも判明してきた。最近、cDNAマイクロアレイを用いた検討で、アポトーシスを誘発する条件の超音波照射が、ヘムオキシゲナーゼ(HO)-1遺伝子発現を誘導することが判明した。本研究では、RT-PCRとウエスタンブロット法を用い、HO-1の発現誘導機構を調べた。 細胞として、ヒトリシパ腫細胞株U937を用いた。1MHz連続波の超音波を照射後HO-1の発現誘導を評価した。また、活性酸素消去剤であるN-アセチルシステイン(NAC)、DMSO、マンニトール、カタラーゼおよびグルタチオンモノエチルエステル(GSH/EE)を添加し、その影響を調べた。細胞内過酸化物測定は、DCFH-DAを用いフローサイトメトリーによって測定した。 超音波照射における発現誘導量は、照射時間、強度に依存して増加した。照射時の温度上昇に相当する温熱処理では発現誘導は認められなかった。超音波照射した培養液を細胞に添加した場合、HO-1の誘導は認められなかったが、細胞と培養液を超音波照射し、その上清を細胞に添加した場合、有意なHO-1の誘導の増加が認められた。NAC、DMSO、マンニトールおよびGSH/EEは培養細胞への添加量依存的にHO-1発現量を抑制したが、カタラーゼは無効であった。DCFH-DAを用いたフローサイトメトリーの測定により、超音波照射によって細胞内に過酸化物が生成されることが示された。 超音波照射した培養液ではHO-1誘導は起きないが、細胞成分を含む場合には僅かにHO-1を誘導する、照射前添加は勿論、照射後添加したNACが完全に抑制し、DMSOも抑制する、ことから、細胞外に生成した活性酸素種がHO-1誘導に働く可能性は低く、照射後に細胞内に生成する活性酸素種・過酸化物が原因と思われる。
|
Research Products
(7 results)