2006 Fiscal Year Annual Research Report
米国ラティーノ社会における階層分化の進行とエンパワーメントの史的展開
Project/Area Number |
17310149
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
牛田 千鶴 南山大学, 外国語学部, 助教授 (40319413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 正紀 フェリス女学院大学, 文学部, 助教授 (70295880)
小池 康弘 愛知県立大学, 外国語学部, 助教授 (40244537)
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Keywords | 階層分化 / 政治意識 / ヒスパニック(ラティーノ) / バイリンガル教育 / アイデンティティ / マイノリティ / 「移民法改正」問題 |
Research Abstract |
2006年8月末〜9月中旬にかけて3名で現地調査を実施し、テキサス大学エルパソ校およびオースティン校、ニューヨーク市・シカゴ市のラテン系居住区、コロンビア大学、シカゴ大学、イリノイ大学、ニューヨーク・キューバ研究センター(小池のみ)、フロリダ国際大学(小池のみ)、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(中川のみ)、ニューメキシコ大学(牛田のみ)などを訪問して情報収集を行った。 牛田はニューメキシコ州を中心に、ヒスパニックの子どもたちを主な対象とするバイリンガル教育プログラムについての調査を実施し、州教育局の専門家との意見交換やプログラム実施校の視察を行った。このほかラテン系移民の歴史に関する文献調査を実施し、その成果を『地球時代の南北アメリカと日本』(ミネルヴァ書房)所収論文「米国最大のエスニック・マイノリティ集団"ラティーノ"-人口増加過程の歴史社会的概観-」にまとめる一方、アメリカ学会年次大会(2006年6月)でも研究報告を行った。 中川は、アンケート調査とその準備に必要な現地調査・文献調査を行うにあたり、自己の力量不足と時間的な制約を考慮した上で、カリフォルニア州におけるラテン系の階層分化と政治意識の変化に関する研究の対象地域をロサンジェルス郡に絞ることとした。2006年6月の日本ラテンアメリカ学会年次大会において、近年の米国および南カリフォルニア地域でのラテン系の中流階層化に関する他の研究者による実態調査結果の整理と検討、ロサンジェルス郡における労働者階層中心の町と中流階層中心の町におけるラテン系その他の人口動態、他の研究者による階層の異なるラテン系集団の比較研究の検討などについての報告を行った。結論として、「政治意識」を市民運動・抗議活動、ボランティア活動、コミュニティ活動への関与などをも含めて考えること、および歴史的背景・地域的特質による住民の政治意識への影響をも視野に入れること、を今後の実地調査において考慮すべき点として挙げた。 小池は、「革命の継承にむけたキューバの戦略と現状認識」(『ラテンアメリカ時報』第49巻第4号)において、ブッシュ政権の対キューバ政策におけるキューバ系移民の影響力、そのことに対するキューバ政府の認識、今後の両国関係への影響について若干の考察を行った。また、中川同様、日本ラテンアメリカ学会において「マイアミのキューバ人社会における政治意識に関する一考察」と題する研究報告を行い、マイアミを中心とするキューバ系移民社会における政治意識について、世論調査、選挙分析、各種二次資料をもとに分析し、他のヒスパニック集団との差異や、世代間、移民時期によってみられる特徴について指摘した。
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Research Products
(5 results)