2007 Fiscal Year Annual Research Report
米国ラティーノ社会における階層分化の進行とエンパワーメントの史的展開
Project/Area Number |
17310149
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
牛田 千鶴 Nanzan University, 外国語学部, 准教授 (40319413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 正紀 フェリス女学院大学, 文学部, 准教授 (70295880)
小池 康弘 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (40244537)
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Keywords | 階層分化 / ヒスパニック(ラティーノ) / 移民法 / 政治意識 / アイデンティティ / マイノリティ / バイリンガル教育 |
Research Abstract |
今年度は、ラティーノ住民の階層差と政治意識の関係を、ロサンジェルス郡南東部における実地調査に基づいて考察することを研究の中心に据えた。ロサンジェルス郡南東部は、近年中産階層以上のラティーノ住民が増加しつつある地域であり、全米レベルにかなりの影響力を持つ地域として無視できない存在となっている。本研究では、政治意識を昨今問題視されている移民に対する意識に対象を絞り、それを探求するアンケート調査をUCLAのチカーナ/チカーノ研究学部の教員と学生の協力を得て2008年2月前半に労働者階層住民中心のベル市と中産階層住民中心のダウニー市で実施が可能となった。3月上旬の時点でまだ調査結果の分析中であるが、住民の社会経済的階層差にとどまらず、回答者の出生地、米国滞在歴、学歴、世代等がその移民意識、さらに広い政治意識に影響していることが明らかになることが予想される。また、政党政治から離れた形での日常的な政治関連活動(市民運動・住民運動・ボランティア活動など)の有り様も調査結果から見えてくることが期待される。 以上の実地調査に基づいた考察を通じて、政党政治に翻弄されるラティーノ住民の姿ではなく、自らのコミュニティの問題を解決して行こうとする地元志向のラティーノの日常的な政治行動が見えてくるのではないだろうか。そのことでマクロの視点では見えてこなかった、ミクロから見たラティーノ住民の日常生活・日常意識が明らかになるものと確信する。
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Research Products
(5 results)