2005 Fiscal Year Annual Research Report
鉄二核錯体における配位子効果と集積化効果によるスピンクロスオーバー挙動の精密制御
Project/Area Number |
17350026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
海崎 純男 大阪大学, 理学研究科, 教授 (20089874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 知 大阪大学, 理学研究科, 教授 (10211864)
冬広 明 大阪大学, 理学研究科, 助手 (90156951)
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Keywords | 鉄(II)錯体 / 磁化率 / 配位子効果 / 集積化 / スピンクロスオーバー |
Research Abstract |
1.二核二鉄(II)錯体[{Fe(NCE)(X-py)}_2(μ-bpypz)_2](E=S or BH_3)は種々のピリジン置換体X-pie(X=3-Br,3-Cl,4-Me,4-Me_2N,3-Me,4-ph,H)で、NCS錯体とNCBH_3錯体のT_cおよびハメット定数の間に非常に良い相関関係が見られ、置換基XによるT_cの違い、すなわちpie-Xの配位子効果は配位子場ではなく、電子間反発パラメーターによるものであることがわかった。また、regular solution modelに基づき求めたΔHとΔSおよびcooperativity factor (C)が、それぞれ、NCS錯体とNCBH_3錯体で特徴的な傾向があり、 NCE配位子がスピンクロスオーバーのΔH,ΔSとCの傾向を支配して、分子間相互作用の違いをもたらすことを明らかにした。また、研究協力者のフランス・ボルドー大学のJ-F.Letard博士による一連の錯体の精密なLIESST測定によって、T_c(SCO)とT_c(LIESST)には極めて良い相関関係があることを見いだした。 2.二段階スピンクロスオーバーが観測される4-phpy(NCBH_3)錯体の光誘起スピンクロスオーバーにおける緩和過程を、フランス・ベルサイユ大学のK.Boukheddaden博士によって測定され、Incubationを伴うものであることがわかり、これが中間点[HS-HS]・・・[LS-LS]での共同効果と関連性していることが示唆された。 3.一次元鎖4,4'-bpy錯体高分子の合成とX線解析に成功して、スピンクロスオーバーに及ぼす集積化による共同効果に関して、新しい知見を得ることができた。
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Research Products
(6 results)