2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17360010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 静雄 京都大学, 国際融合創造センター, 教授 (20135536)
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Keywords | 擬似混晶 / ワイドギャップ半導体 / 酸化亜鉛 / p型伝導 / デラフォサイト型酸化物 / MBE / サブバンド形成 / 紫外発光デバイス |
Research Abstract |
ZnOの優れた励起子機能を発光デバイスとして活かすには、p型層の実現が必要である。しかし直接p型ZnOやZnMgOを得ることは極めて困難である。本研究では、p型酸化物とZnO、MgOとの超格子構造による擬似混晶を実現し、ZnO光デバイスへの応用を目指すものである。 (i)MBEを用い、酸化銅の成長を行った。得られた酸化銅は、成長条件に応じてCuOまたはCu_2Oの組成を持つ。Cu_2Oの組成を持つ酸化銅は正孔密度10^<16>cm^<-3>程度のp型を示した。 (ii)Cu_2OとZnO、MgOとの超格子構造によるサブバンド間エネルギーを計算し、Cu_2Oの膜厚が5nm以下の場合に禁制帯幅3.4eV以上の擬似混晶が得られることがわかった。またMBEにより表面平坦性を保ったまま超格子構造が作製できた。Cu_2O/MgO超格子により禁制帯幅3.5eVが得られたが、電気的には高抵抗で、今後p型酸化物であるCu_2Oの正孔密度を高める必要性が明らかになった。 (iii)デラフォサイト型p型酸化物CuXO_2(X=Al、Ga、In)として、CuGaO_2を対象にすることにした。しかし予想以上に結晶成長が困難であったため、まずGa_2O_3の成長条件を調べ、そこにCuを加えるという方針をたてた。C面サファイア基板上に基板温度800℃程度において・型のGa_2O_3が得られたが、多結晶であった。しかし、表面の平坦性が優れており、AFM観察から得られたRMS粗さは0.18nm(膜厚460nm)と小さい。光学測定から求めた禁制帯幅は4.9eV、電気的には高抵抗(>10^6Ωcm)または電子密度10^<14>cm^<-3>程度のn型伝導を示した。 (iv)CuGaO_2の成長は1000℃で行った。成長直後には多結晶を示す傾向が強いが、その後の熱アニールによりc軸配向が得られた。電気的には正孔密度8.7×10^<14>cm^<-3>、移動度3.5cm^2/Vsのp型伝導が得られた。CuGaO_2成長が困難なため超格子構造の作製には至らなかったが、p型CuGaO_2が得られたことで、所期の成果を達成するための見通しを得たといえる。
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Research Products
(1 results)