2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高解像度"温暖化"実験とマルチスケール水文モデルによる世界の洪水渇水変動の評価
Project/Area Number |
17360239
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
鼎 信次郎 総合地球環境学研究所, 助教授 (20313108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUSHMANTHA Dutta 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30291313)
平林 由希子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助手 (60377588)
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Keywords | 気候変動 / 水工水理学 / 水資源 / 水循環 / 自然災害 |
Research Abstract |
高解像度気候変動シミュレーションのアウトプットを元に、全球スケール、大陸流域スケール、都市スケールのマルチスケールにおいて、地球温暖化下の洪水・渇水の変動の見込みを推定することが、本研究の目的である。全球スケールにおいては、観測降水量と気温をベースにした20世紀過去100年の洪水・渇水再現計算と、そのような観測値を用いない20世紀気候再現実験からの洪水・渇水の計算結果とを比較することによって、将来気候予測から洪水・渇水変動を導くことのある程度の妥当性を検証するとともに、予測を信頼するならば21世紀はインドシナ、サヘル、西ヨーロッパなどで渇水・洪水ともに酷くなることを示した。洪水よりも渇水シミュレーションの再現性が悪いのだが、その原因として、陸面水文モデルに幾つか改善すべき点があることを発見し、それらの改良を精力的に行い、次年度以降の渇水研究の進展に繋げた。 大陸流域スケールとしては、黄河を対象として分布型流出モデルによる将来予測を行った。黄河流域では特に渇水が問題となるが、利用する気候モデルによって、流域の水資源量が増加するか減少するかの見込みが全く正反対になること、すなわち当該地域の将来渇水予測の不確実性が高いことが判明した。例えば上記の全球アセスメントに利用した高解像度モデルでは、黄河本流域では渇水が軽減され、流域周辺部では渇水が厳しくなる傾向にある。これらの物理的妥当性の解釈が必要とされているとともに、人為的取水の影響の大きさを次年度以降見積もることが重要である。バングラデシュを対象とした都市洪水の増加減少アセスメントも開始した。
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Research Products
(4 results)