2005 Fiscal Year Annual Research Report
強加工による形状記億合金の非晶質/ナノ結晶化とその相変態機構の解明
Project/Area Number |
17360312
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
土谷 浩一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50236907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田淵 正幸 函館工業高等専門学校, 一般科目理数系, 助教授 (90321364)
渡辺 精一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60241353)
戸高 義一 豊橋技術科学大学, 研究基盤センター, 助手 (50345956)
梅本 実 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90111921)
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Keywords | 形状記憶合金 / 強加工 / ナノ結晶 / 非晶質 / マルテンサイト変態 / 超弾性 / 双晶 |
Research Abstract |
TiNi系形状記憶合金は優れた形状記憶・超弾性特性を示し,携帯電話のアンテナ等様々な分野で応用されてきた。特に最近は低侵襲性医療技術の発展に伴い,ガイドワイヤー,ステント等の医療デバイスへの応用が急速に拡大している。TiNiはまた,強加工により固相状態で非晶質化またはナノ結晶化することが知られてきた。その原因としては,転位密度の上昇による弾性エネルギーの増加が重要であると指摘されてきた。本研究では冷間圧延(CR),ショットピーニング(SP),高圧ねじり加工(HPT)などの強加工による,非晶質化/ナノ結晶化したTiNiについて,TEMによる組織観察の結果に基づき,その非晶質化機構について考察した。 その結果,CR, HPTによる非晶質過程は類似しており,加工前の状態がマルテンサイト相(B19'相)であっても加工によりB2相に逆変態し,さらに加工を加えることにより非晶質相へと変化することが明らかになった。加工によりB19'相が不安定になることは加工後のDSC測定でM変態ピークが消失することからも明らかである。同様なことは電子線照射による非晶質化についても報告されている。この原因としては加工により長範囲規則度が低下し両相の自由エネルギーが変化することが考えられる。 SP後の組織のTEM観察では114)のトレースにほぼ平行な帯状の非晶質相が見られた。電子線回折像よりこの領域は{114}双晶を含んでおり,これらの非晶質相は{114}双晶界面に沿って生成している可能性が高い。また冷間圧延,HPT加工後の組織には非晶質/ナノ結晶のラメラ組織がよく観察された。この様な組織の形成にもB19'マルテンサイト相及びB2相の双晶変形が関与している可能性が高い。 従ってTiNi相の強加工による非晶質化には転位密度の増加のみならず,変形双晶の導入も極めて重要な役割を果たしていると考えられる。
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Research Products
(3 results)