Research Abstract |
これまでに,多くのナノ加工法が報告されているが,スループットが低くマスプロダクションに向かないという問題点がある.一方,マスプロダクションに向くマイクロ加工法は,既に実用化されているが,その延長でナノ加工は望めない.そこで,本研究では波長が10nm程度の軟X線を用いた光直接加工法に着目した.さらに,軟X線源として安価で高輝度であるレーザープラズマ軟X線を採用した.本研究では,レーザープラズマ軟X線をパターニングして材料の加工および物質の創製/造形を行う方法を明らかにすることを目的とする.これを実現するため,平成17年度はナノ加工装置の開発および無機透明材料のレーザープラズマ軟X線による加工の可能性を明らかにすることを計画した.パターニングしてマスクレスで加工するために,ウォルターミラーによる結像照射を採用することとした.軟X線による加工を行うために,この波長領域で集光効率が高いウォルターミラーを新たに設計し作製した.これと平行し,ナノ加工の可能性を実証するため,幅が50nmの溝があるコンタクトマスクを通して軟X線をシリカガラスに照射したする研究を行った.パルス軟X線は,パルス幅が7nm,パルス当たりのエネルギーが500mJ/pulseのNd:YAGレーザー光をTaターゲットに集光照射することにより発生させた.この軟X線を楕円ミラーにより集光し,試料に照射した.この楕円ミラーは,波長が10nm前後の軟X線を効率よく集光できるよう設計してある.その結果,幅が50nm,アスペクト比1の溝をシリカガラス上に作製できた.これにより,レーザープラズマ軟X線によりシリカガラスのナノ加工が可能であることを実証した.また,レーザープラズマ軟X線加工法により加工が可能な物質の範囲を明らかにするため,シリカガラス,CaF_2,LiF,Al_3O_3,LiNbO_3,Si,シリコーンゴム,極低熱膨張セラミックスガラスの加工可能性を調べた.その結果これらは10nm/shotから150nm/shotの範囲でアブレーション加工が可能であることが明らかとなった.
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