2007 Fiscal Year Annual Research Report
ULF炭素系固体潤滑剤の複合宇宙環境下におけるシナジェティックス效果
Project/Area Number |
17360410
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田川 雅人 Kobe University, 工学研究科, 准教授 (10216806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 久美子 神戸大学, 工学研究科, 助手 (20252794)
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Keywords | DLC / 原子状酸素 / 宇宙環境 / 超低摩擦 / 低地球軌道 |
Research Abstract |
本研究は摩擦係数0.001レベルの超低摩擦現象が観察されるダイヤモンドライクカーボン(DLC)の宇宙環境でのトライボロジー特性を研究するものである。平成19年度には前年および平成17年度に整備した宇宙環境模擬試験装置を用いて水素化DLCに原子状酸素照射を照射し、その前後におけるトライボロジー試験ならびに表面分析を行った。表面炭素原子の結合状態は放射光励起光電子分光法(SR-PES)で、水素含有量は高エネルギーイオン加速器を用いた弾性散乱分析法(ERDA)分析で、さらに炭素密度はラザフォード背面散乱分析法(RBS)により分析を行った。SR-PESの結果からは、原子状酸素を照射したDLC表面の炭素原子の結合状態は表面第一層に酸化物起因のピークが観察されるものの照射前と大きく変化がなく、表面第一層での原子反応が支配的であることが再確認された。一方、ERDA,RBS測定結果からは水素量ならびに炭素密度の低下が確認された。特に2eV以上の運動エネルギーで酸素原子が衝突する場合には、急速な炭素のガス化反応が生じることが、QCMを用いた質量分析ならびにRBS測定より確認され、DLCのエロージョンレートは酸素原子の衝突エネルギーに強く依存していることが明らかになった。さらにNEXAFSの測定結果からは原子状酸素を照射後にはDLC表面のsp2/sp3比が小さくなっていること、相手材がTiの場合にはTiの移着膜がDLC表面に形成されること等も明らかになり、宇宙環境でのDLC利用のみならず、DLCの一般的な摩擦条件下でのULF特性の解明に貴重な情報が得られた。
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