2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒアルロン酸の機能実体、SHAP蛋白質との共有結合複合体の形成機構と機能の研究
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17370041
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木全 弘治 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 教授 (10022641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
卓 麗聖 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助手 (00399031)
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Keywords | ヒアルロン酸 / SHAP / 炎症 / インタ-α-トリプシンインヒビター / 複合体形成酵素因子 / factor H-related protein 1 / TSG6 |
Research Abstract |
(1)酵素因子の精製:i)血清からの精製:財団法人化学及血清療法研究所から供給を受けたヒト血清分画ライブラリーの画分から予備実験で確立した親和性カラムを用いた精製方法で活性因子を得る作業を繰り返した。穏和な分画カラム条件下でのクロマトグラフィーにもかかわらず分画中に活性は失われた。現在、サブユニットまたは複合体構造の可能性を考え、画分の組み合わせによる活性回復などを検討している。ii)酵素因子の肝細胞培養上清からの精製と同定:ヒト肝癌細胞HLFの無血清培地での培養上清を精製材料とした。ヘパリンカラム、亜鉛キレートカラム、ゲル濾過カラムで約千倍に精製された画分を得た。活性はSDS-PAGE上で100と35kDa付近に、等電点電気泳動で4.3付近にあった。活性スポットを切り出し、ペプチド配列と質量分析法でfactor H-related protein 1分子(FHR-1)とchitinase 3 like 1と同定したが、これらのcDNAトランスフェクタントは活性因子を分泌しなかった。現在、他のスポットの同定と活性確認を継続中である。 (2)遺伝子解析とノックアウトマウスの作製:酵素因子の同定が出来ず、進行できない。従って申請時の目的(3)「関連のノックアウトマウスも加えて、様々なタイプの炎症誘起負荷をかけて生体レスポンスを調べ、SHAP-HA複合体の炎症反応における関与を解析する」研究を優先させた。ビクニンノックアウトマウス(SHAP-HA複合体が形成されない)にD-galactosamine(GalN)とLPS(大腸菌リポ多糖体)の腹腔投与により急性肝障害を誘導すると、投与24時間後の致死率はwildで80%、ヘテロで60%、ホモでは0%であった。また投与6時間後の血清ALTもホモで正常値、炎症細胞の浸潤も明らかに少なかった。これらの差はTNFα発現増減によるとの証拠を得て、SHAP-HA複合体の炎症反応への関与の証拠を得た。デキストラン(3%)の飲料水投与による腸炎誘導実験系で投与7日目でヘテロは70%が死亡したが、ホモは死ななかった。現在、SHAP-HA複合体形成の有無によるこの差の機構を解析中である。
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Research Products
(9 results)