2006 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫における遺伝子ターゲティングの分子機構とその効率的利用
Project/Area Number |
17380037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
日下部 宜宏 九州大学, 大学院農学研究院, 助教授 (30253595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河口 豊 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (80038306)
李 在萬 九州大学, 大学院農学研究院, 助手 (50404083)
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Keywords | カイコ / ターゲティング / 相同組換え / 昆虫 / 遺伝子破壊 |
Research Abstract |
これまでの研究により、染色体のヘテロクロマチン化は、遺伝子ターゲティングを含むDNAの組み換え阻害的に働くと考えられるが、カイコにおいては、ヘテロクロマチン形成に関わる遺伝子群についての研究がほとんどなされていなかった。特に分散型動原体を持つカイコはそのヘテロクロマチン形成機構が、他の生物とは異なる制御を受けている可能性が考えられた。そこで、カイコのヘテロクロマチン形成において正の制御を行うことが予想されるヒストンメチルトランスフェラーゼ(SU(Var)3-9)についての機能解析を行った。同時に、その基質となるカイコヒストンH3とヒストンメチルトランスフェラーゼの下流でヘテロクロマチン形成の誘導維持を行うHP1-α,HP1-βについても遺伝子を単離し、機能解析を行った。その結果、カイコにおいてもヒストンH3の9番目のリジン残基が、モノ、ジ、トリメチル化修飾を受けること、そのメチル基転移反応にSU(Var)3-9が関与していることが示唆された。 メチル化されたカイコヒストンH3に、ヘテロクロマチンタンパク質であるHP1-αとHP1-βが結合することが示されたが、他の生物と異なり、HP1-αの転写調節領域へのリクルートにより、ヘテロクロマチン形成を介した転写抑制は誘導されない可能性があることが示唆された。今回は、染色対外のプロモーターに対する影響を解析したため、ヘテロクロマチン形成を介した転写抑制が染色体内外で異なる可能性がある。現在、同様の手法を用いて、染色体上での影響を解析している。合わせて、ヘテロクロマチン形成が、遺伝子ターゲティングに及ぼす影響についても解析を進めている。
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Research Products
(6 results)