2005 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素特異的遺伝子を活用した窒息の法医病理学的診断法の確立
Project/Area Number |
17390202
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中園 一郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30108287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 亮一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (20098875)
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Keywords | SAGE法 / 窒息 / 頚部圧迫 / マウス / 脳 / C-fos |
Research Abstract |
Serial Analysis of Gene Expression (SAGE)法は、遺伝子の転写発現状態を多面的にかつ詳細に検討・解析できる唯一の方法である。しかしながら、その手技の煩雑さによりしばしば実験途中でTagを失うこと、また、Tagの短さにより異なる遺伝子でも同様のTagを有してしまう欠点があることも知られている。我々は、Tagを多量に取得でき、また、Tagの長さをより長くできるSAGE法の欠点を改良したMicro and Long SAGE (MLSAGE)法を開発した。この方法によって容易に良質のTag cDNA Libraryを構築できるようになった。従って、MLSAGE法を利用してマウス前脳皮質における窒息特異的遺伝子を検索した。具体的には頚部圧迫処置を施し死亡したマウス(Hanging群)と断頭処置したマウス(Control群)よりRNAを抽出し、ML-SAGE法にてTag cDNA Libraryを構築し、現在、このTag情報を解析している。この解析中に、Immediate Early Gene(IEGs)のひとつであるC-fosのTag頻度に差異が認められたため、q-PCR法にてC-fosの発現量について両群について計測したところ、以下の結果を得た。前脳皮質C-fos発現量は、Hanging群1.43+/-0.17、Control群0.25+/-0.08で、統計学的検討の結果、Hanging群とControl群ではC-fosの発現量に有意な差が認められた(p<0.01)。今回の結果より、窒息時にはIEGsであるC-fosの遺伝子発現が生じていることが確認され、窒息の診断にC-fosの発現を検討することが有用であることが示唆された。今後、引き続きTag解析を行い、Tag頻度に有意な差異が認められる遺伝子を検索したいと考えている。また、両群の間で有意な差が認められたC-fosについては、今後は両群のC-fos蛋白量を確認した後に、窒息死を中心として法医剖検脳について本結果を応用していきたいと考えている。
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