2005 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外光断層イメージングを用いた新生児脳血液量や酸素化状態の測定に関する研究
Project/Area Number |
17390307
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
日下 隆 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 幸生 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10334583)
谷川 ゆかり (独)産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, 主任研究員 (20344202)
西田 智子 香川大学, 医学部附属病院, 助手 (00243759)
難波 正則 香川大学, 医学部, 助手 (90237636)
大久保 賢介 香川大学, 医学部, 助手 (80335851)
|
Keywords | 近赤外光 / トモグラフィー / 時間分解測定 / 新生児 / 脳 / 脳内血液量 / 組織Hb酸素飽和度 / 早産児 |
Research Abstract |
1)近赤外光時間分解測定装置(TRS)の臨床応用のため、基礎的検討として新生仔豚を対象に吸入酸素濃度の変化させた研究の結果、光拡散係数は酸素濃度を変化させても変化せず、吸収係数を用いたHb値の算出では、水以外のbackground absorptionの決定が問題であることを見出し、新たなbackground absorptionを算出し、定量的測定の問題を解決した(J Biomed Opt,2005)。 2)TRSでの早産児及び正期産児の測定により、光拡散係数は在胎週数に比例して大きくなり、解剖学的変化を捉える新しいパラメーターとなり得ることを見出した。また同時に脳血液量が在胎週数に比例して増加し、頭部Hb酸素飽和度が減少することを報告した(Pediatr Res,2005)。 3)TRSを用いた、低酸素性虚血性脳症(HIE)の患児での、脳内血液量(CBV)や組織Hb酸素飽和度(ScO2)の評価を検討した。その結果、生後8時間でCBV、ScO2はそれぞれ1.6ml/100g,73%であった。CBVは生後32時間で,ScO2は66時間で最高値(各々2.3,82)を示し、以後低下し日令7以降は一定値を示した。CBVが生後32時間で最高値を示した理由は虚血再還流時のCBFの上昇が原因で、ScO2が66時間で最高値を示した理由は脳酸素消費が減少し脳内静脈血Hb酸素飽和度の上昇が考えられた。このことから、HIE症例におけるCBVやScO2の評価は、早期予後判定のパラメーターに成り得ると考えられた(2006年小児科学会にて発表)。 4)多チャンネル近赤外光時間分解測定装置を用いた早産児の断層型画像構築のため、安全なクラスIの近赤外パルス光測定のS/N比を検討した。この結果、現在のレーザー光強度でのNIR tomography測定は、頭囲が20cm前後では可能だが、30cm以上では不可能であると考えられた(2006年小児科学会にて発表)。 5)多チャンネル近赤外光測定装置(光トポグラフィー)を利用し、新生児における上肢および下肢の他動的運動感覚刺激に対する運動感覚野を含む頭頂・側頭部の反応を測定し、比較検討を行った結果、対側刺激により運動感覚野のoxyHb値の増加を認め、反応が最大となる時間は成人の報告例より遅く、反応部位は膝刺激が肘刺激より広範囲の症例が多く、上肢の運動感覚野が下肢より限局されていることが示された(2006年日本周産期・新生児医学会にて発表)。
|
Research Products
(2 results)