2005 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸伝達系を標的とした統合失調症の新規治療法開発に関する研究
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17390317
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西川 徹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00198441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
車地 暁生 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教授 (00251504)
山本 直樹 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (70312296)
古田 光 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手
石井 澄和 東京医科歯科大学, 医学部, 教務職員 (20106660)
大島 一成 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (60345288)
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Keywords | 総合失調症 / グルタミン酸伝達系 / D-セリン / NMDA受容体 / 抗精神病薬抵抗性症状 / 前頭葉皮質 / D-サイクロセリン / グリア |
Research Abstract |
NMDA型グルタミン酸受容体遮断薬が、統合失調症と区別し難い精神異常を引き起こすことより、本症の病態におけるNMDA受容体機能低下の関与が推測されている。また、脳の内在性D-セリンが、NMDA受容体のコアゴニストとして重要な役割を果たしており、統合失調症でD-セリンシグナル調節が障害されている可能性がある。そこで、本研究では、D-セリンシグナル調節の観点から、NMDA受容体機能促進物質の統合失調症または動物モデルに対する効果およびその作用機序を検討することを目的としている。 前頭葉皮質において、NMDA受容体機能を維持するのに不可欠な細胞外液中D-セリンは、神経の脱分極刺激によっても増加せず、神経活動が遮断されても低下しないことをこれまでに報告してきたが、本年度は、グリア細胞選択的に作用する毒素の灌流によって細胞外液中D-セリン濃度が低下することが、新たに明らかになった。以上の所見は、D-セリンがグリア細胞から放出されるか、グリア細胞の活動に依存した神経-グリア相互作用によりD-セリンの細胞外放出が調節される可能性を示唆している。また、統合失調症の抗精神病薬抵抗性の症状を改善することが海外で報告され、本研究でも臨床試験を行うD-サイクロセリンが、大脳新皮質の細胞外液中および組織中のD-セリン濃度を上昇させることや、この作用の少なくとも一部はセリン水酸化メチル基転移酵素への影響に関係することを見出した。一方、D-サイクロセリンの総合失調症状への効果と、症状の特徴、MRIにおける白質のシグナル、本剤の血液中濃度等との関連を調べる臨床研究の準備を進め、倫理委員会の承認を得て開始した。
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Research Products
(16 results)