2005 Fiscal Year Annual Research Report
血小板を用いた新しい重症肝疾患に対する治療法の開発
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17390359
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大河内 信弘 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40213673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (80256510)
谷口 英樹 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70292555)
安江 博 独立行政法人農業生物資源研究所, 上席研究官 (80113497)
湯沢 賢治 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10240160)
福永 潔 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (20361339)
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Keywords | 肝臓 / 小板 / 肝不全治療 / クッパー細胞 / 再生 / Akt / トロンボポエチン / 抗血小板抗体 |
Research Abstract |
本研究は血小板による肝細胞増殖作用に着目し、血小板を用いた全く新しい臨床応用可能な肝再生促進療法、ならびに肝不全治療法の開発を行うことを目的としている。平成17年度はin vivoの実験モデルとして血小板の増殖因子であるトロンボポエチンを用いて正常の2倍に血小板を増加させた血小板増加群、また抗血小板抗体を用いて血小板数を正常の10分の1に減少させた血小板減少群を作成した。肝切除48時間後の再生肝重量は血小板増加群が血小板減少群に対し有意に増加することを明らかにした。また血小板増加群において、肝切除後早期に血小板が肝に集積することを明らかにし、透過型電子顕微鏡像において血小板と肝細胞の直接の接触が認められた。血小板増加群においては肝切除後早期にシグナル伝達分子であるAktの活性化が認められた。血小板増加マウスの肝再生促進効果は肝内マクロファージであるクッパー細胞を除去すると抑制された。培養肝細胞を用いたin vitroの実験モデルで、血小板の膜成分と内容物の肝細胞増殖効果を検討し、血小板内容物に効果があることを明らかにしたが、血小板内の肝細胞増殖因子(HGF)は非常に微量であり、他の増殖因子の関与が考えられた。血小板を肝細胞に接触させるとin vivoの実験と同様にAktの活性化が認められ、Aktの上流の因子であるPI3Kの阻害剤を用いると肝細胞増殖が低下した。以上の結果から血小板と肝細胞の接触によるAktの活性化が肝細胞増殖に重要であると考えられた。肝細胞とクッパー細胞の共培養によって肝細胞増殖が亢進し、これに血小板を加えるとより増殖促進効果があること、加えてin vivoの実験の結果からクッパー細胞と血小板の肝再生への関与があると考えられた。
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