2006 Fiscal Year Annual Research Report
血小板を用いた新しい重症肝疾患に対する治療法の開発(生物材料を用いた肝再生療法の開発)
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17390359
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大河内 信弘 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (40213673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院医学研究科, 寄附講座教員 (80256510)
谷口 英樹 横浜市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70292555)
安江 博 独立行政法人農業生物資源研究所, 上席研究官 (80113497)
福永 潔 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (20361339)
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Keywords | 肝臓 / 血小板 / 胚不全治療 / クッパー細胞 / 再生 / Akt / トロンボポチエン / 抗血小板抗体 |
Research Abstract |
本研究は血小板による肝細胞増殖作用に着目し、血小板を用いた全く新しい肝再生促進療法、ならびに肝不全治療法の開発を行うことを目的としている。これまでにin vivoの実験系で、血小板増加群は血小板正常群と比較して肝切除後の再生が促進されることを明らかにした。さらに血小板減少群では肝切除後の再生が有意に抑制されることを発見した。平成18年度はマウス過大肝切除モデルを用いて血小板増加群と血小板正常群の肝再生を比較した。血小板正常群では肝切除30時間以内に致死となるのに対し、血小板増加群では約30%が1週間生存し、生存率の有意な改善を認めた。血小板増加群が正常群に比べて有意に肝再生が促進され、血清アルブミン、コレステロール値も有意に改善した。培養肝細胞と血小板を用いたin vitroの実験系で、血小板内容に肝細胞増殖促進効果があり、シグナル伝達系としてPI3K/Akt経路が重要であることをこれまでに明らかにしてきた。平成18年度の検討では、血小板内に血小板由来増殖因子PDGF、肝細胞増殖因子HGF、インスリン様増殖因子IGF-1が含まれており、そのうち肝細胞増殖活性を有するのはHGF、IGF-1であることを明らかにした。血小板内のHGFおよびIGF-1がPI3K/Aktのシグナル伝達系を活性化して肝細胞増殖を促進するメカニズムが考えられた。血小板は常温振盪で3日しか保存できないため、長期保存可能な血小板製剤の開発が血小板を用いた肝再生促進療法の実施に必要である。平成18年度にマウスの血小板を用いて凍結乾燥血小板製剤の開発を行った。凍結乾燥血小板は形態、凝集能、増殖因子、ATP、ADPなどの生理活性物質がほぼ新鮮血小板と同様に保たれ、肝細胞増殖促進効果を有していることをin vitroの実験で確認した。今後in vivoの実験で凍結乾燥血小板の肝再生促進効果を確認していく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Platelets strongly induce hepatocyte proliferation with IGF-1 and HGF in vitro.
Author(s)
Matsuo R, Ohkohchi N, Murata S, Ikeda O, Nakano Y, Watanabe M, Hisakura K, Myronovych A, Kubota T, Narimatsu H, Ozaki M.
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Journal Title
Journal of Surgical Research (in press)