2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア各地に生息するクワコを含む野蚕集団の、進化地理学・集団遺伝学的考察
Project/Area Number |
17405023
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中島 裕美子 琉球大学, 遺伝子実験センター, 助教授 (70244340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴野 豊 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (50192711)
行弘 研司 独立行政法人・農業生物資源研究所, 主任研究官 (50343992)
佐原 健 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30241368)
日下部 宜宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (30253595)
伊藤 雅信 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (60221082)
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Keywords | クワコ(Bombyx mandarina) / mariner-like-elements(MLEs) / Cecropia-ITR-MLE / ミトコンドリア(mt)cox遺伝子 / MOKO硫化酵素遺伝子(og) / アルカリ性フォスファターゼ(ALP) / (Alp-mとAlp-s) / 介在配列 |
Research Abstract |
今年度は韓国におけるクワコの個体収集(総計約30個体)、およびDNA抽出を主に行った。また、ベトナム、タイ、台湾におけるクワコ、および野蚕の分布状況や収集をスムーズに進めるため相手国側との交渉を行った。各地クワコ集団間におけるDNAマーカー領域の比較結果は以下のとおりである。 日本、韓国、中国産クワコにおけるCecropia-ITR-MLEの比較を行った。韓国と中国のクワコからの配列は大陸タイプに収束し、日本本州に生息するクワコからの配列とは異なるサブグループを形成した。日本の中でも対馬、北海道など朝鮮半島や大陸に近い地域に生息しているクワコからの配列は、日本本州タイプ、および大陸タイプ両方に跨っていた。従って、この手法によって単離されたMLEとクワコの地理的分布との間の相関関が示唆された。ミトコンドリア(mt)cox遺伝子の比較では、日本産クワコとカイコでは顕著な違いが見られたが、日本産クワコ内の変異は小さかった。MOKO硫化酵素遺伝子(og)においては、日本産クワコとカイコ間、また種内変異はcox遺伝子領域に比較してはるかに大きかった。遺伝子重複によって生じたと考えられ同一染色体上に並列して存在している2種類の異なる遺伝子にコードされている(Alp-mとAlp-s)アルカリ性フォスファターゼ(ALP)、およびそれらの間の介在配列、3領域の構造を日本産クワコと中国産クワコについて解析した。その結果、両AlP,遺伝子の塩基配列には、クワコ間、カイコ-クワコ間で大きな変異はなかった。介在配列は日本のつくば産を除く全個体で増幅が確認され、カイコ同様、挿入/欠失による多型が確認された。中国産クワコの介在配列の構造は、日本産クワコのどの介在配列よりもカイコタイプと最も近く、カイコ(染色対数n=28)が日本産クワコ(n=27)より中国産クワコ(n=28)に近縁であることを示唆する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] A novel indicator for radiation sensitivity using the wing size reduction of Bombyx mori pupae caused by γ-ray irradiation.2006
Author(s)
Takada N., Yamauchi E., Fujimoto H., Banno Y., Tsuchida K., Hashido K., Nakajima Y., Tu Z., Takahashi M., Fujii H., Fugo H., Maekawa H.
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Journal Title
Journal of Insect Biotechnology and Sericology 75(1)(In press)
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