2005 Fiscal Year Annual Research Report
メディアによる社会情報環境の安全化の研究〜倫理規定と取材・報道のあり方を通して〜
Project/Area Number |
17500166
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
渡辺 武達 同志社大学, 社会学部, 教授 (50065869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 功二 同志社大学, 社会学部, 教授 (60066272)
工藤 和男 同志社大学, 文学部, 教授 (60153300)
河崎 吉紀 同志社大学, 社会学部, 専任講師 (30388037)
野原 仁 岐阜大学, 地域科学部, 助教授 (70337814)
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Keywords | 安全 / 不安 / メディア / 社会情報 / 倫理綱領 |
Research Abstract |
科学と技術の進歩は原初的で自然のメカニズムに依拠した生物的な生活リズムと対立し、メディアがその傾向を加速する傾向がある。社会現象の出発と帰結の関連が情報環境として不透明になっており、それが「不安感」を含むさまざまな社会問題を起こしている。戦後の日本では右肩上がりの経済発展が長く続き、欧米的科学・学問への信仰とも言える依存と経済力への自信が1995年1月の神戸・淡路大震災による6000人以上の生命の喪失、数十万軒の家屋の倒壊によってくずれ、「安全神話」の崩壊としてその年の流行語になった。またメディアはきわめて扇情的な報道をし、日本における小学児童の殺害事件が頻発しているかのようなイメージをオーディエンス(視聴者・読者)に与え、あたかも日本の安全が脅かされているかのように描いている。しかし、統計上はすくなくとも殺害された小学生の数はこの30年ばかりのあいだ、増加してはいない。個々の児童の殺害事件は一件でも問題だがすくなくともメディアの与える印象は実態とはかけ離れていることも事実なのだ。こうした不安症候群ともいえる状況への対応は個人のレベルでは心理療法の対象となり、社会的な安全対策としては警察活動、あるいはそれと協力した防犯協会や住民自治活動、政府の対応としては法律整備と実施予算計上による安全対策がなされる。しかしメディアが不安を必要以上に煽ることにより、必要以上の、ある意味では無駄ともいえる対応策もなされている。原因は、現代社会の情報流通がメディアによる間接的な経路によるものとなっていることである。本研究ではメディアが自主制定した倫理綱領に反して、「安全」とその関連用語「不安・安心・安全保障・危険・危惧、等」を必要以上に使用していること、さらにはそうした状況に便乗したビジネス(不安ビジネス)が盛んになっていること等を調査し、人びとが不必要な不安感をもたないためのメディアの在り方について考察した。
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Research Products
(3 results)