2005 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん焦点部における微小形成不全の診断基準策定のための神経病理学的解析
Project/Area Number |
17500245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
新井 信隆 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (10167984)
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Keywords | 難治性てんかん / 微小形成不全 / 脳形成異常 / 機能的脳外科手術 / 神経細胞遊走障害 / 外科病理 |
Research Abstract |
てんかんの焦点部に意外に多く潜在していると考えられている器質的な病変に微小形成不全があることが近年、指摘されているが、その病理学的な診断基準は明確でないのが現状である。特にてんかん外科治療の領域ではこれらの診断基準を明確にすることが求められ、そのことにより根拠に根ざした医療(evidence-based medicine)が一層推進される。これらの課題に一定の結論を得るために本研究は遂行されているところである。目的:難治性てんかんの焦点部の器質的変化として微小形成不全の存在が指摘されている。しかし、それらについてコンセンサスが得られた病理診断基準は確立されていないのが現状である。今回われわれは、多数例の剖検例について微小形成不全と考えられる大脳皮質病変を検証し、どのような所見が存在すれば微小形成不全と言えるのか、という点を明らかにした。対象と方法:剖検例の検索対象は以下の通り:正常対照16例(m9,f7,15-71)、血管障害8例(m4,f4,41-69)、変性疾患28例(m15,f13,54-78)、形成異常1(主に遊走障害例)19例(m11,f8,1-41)形成異常2(その他の形成異常例)9例(m5,f4,1-6)。それぞれ、吻側前頭葉、尾側前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉を通る大型標本において10脳回をランダムに抽出し、3種類の所見(superficial hypermyelination、subpial large neuron、persistent granule cell)の有無をスコア化し、各群における合計、頻度を算出した。また、3所見の出現の組み合わせを検討した。結果と考察:superficial hypermyelinationは形成異常1群で多く観察される傾向があったが各群での有意差はなかった。一方、subpial large neuron、persistent granule cellの所見は、形成異常1群、2群で有意に高頻度であった。また、3所見の組み合わせでは、非形成異常のいずれの群において、3所見が共存することはなかったが、形成異常群においてはsubpial large neuronおよびpersistent granule cellの共存例と、3所見が共存していた例が約半数に上り、このような場合に微小形成不全と診断することが妥当であると強く示唆された。目下、神経関連モノクローナル抗体を用いて上記の組織コンポーネントの性格付けの知見を収集している。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Autopsy case of acute encephalopathy linked to familial hemiplegic migraine with cerebellar atrophy and mental retardation2005
Author(s)
Takahashi, T., Arai, N., Shimamura, M., Suzuki, Y., Yamashita, S., Iwamoto, H., Inayama, Y., Kameda, Y., Kuroiwa, Y.
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Journal Title
Neuropathology 25
Pages: 228-234
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