2006 Fiscal Year Annual Research Report
異種移植の安全性に関する研究:ブタ内在性レトロウイルスの制御
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17500288
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤吉 利信 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 助教授 (50173480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高尾 尊身 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (80171411)
松原 修一郎 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 助教授 (60199841)
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Keywords | 異種移植 / 内在性レトロウイルス / 医用ミニブタ / 安全性 |
Research Abstract |
目的-クラウン系ミニ豚は鹿児島大学で開発されたもので、南九州の風土に適合し量産可能なミニ豚である。このミニ豚の臓器を人体への異種移植に応用できれば、現在の移植医療における臓器不足を解消できる。このために、クラウン系ミニ豚に潜伏する内在性レトロウイルス(PERV)の人体への病原性を検討する。このため、クラウン系ミニ豚の各臓器(心臓、脾臓、腎臓、肝臓、膵臓、肺など)におけるPERV DNAを特異的PCR系で検出し、そのDNA配列から病原性の有無を検索する。クローン化PERV DNAを遺伝子操作して弱毒化(または無毒化)する基礎研究をおこなう。 研究実績-昨年度の研究でクラウン系ミニブタにはPERV-A,B,Cのゲノムが存在することが明らかになった。今年度は、各臓器(心臓、脾臓、腎臓、肝臓、膵臓、肺など)からRNAを抽出し、PERVの遺伝子発現についてRT-PCR系で検索したところ、心臓、膵臓、肺組織より抽出したRNA標品中には、PERV配列は発現していなっかたが、肝臓、脾臓、および腎臓より抽出したRNA標品ではPERV配列が検出された。このことから、クラウン系ミニブタでは、PERV発現がみられなかった心臓、膵臓、肺は、異種移植の臓器供給源としての可能性が示された。一方、PERV発現が見られた肝臓、脾臓、および腎臓は、PERV制御対策が必要と思われる。クラウン系ミニブタでPERVが発現しているが、通常のミニブタ飼育環境でヒトへの感染性の有無を検討するために、ミニブタ飼育農場(JFCI)従業員血液検体にPERVのゲノム及びmRNAが検出されるか調べるみたところ、全例(6名)の検体のGenomic DNA-PCRおよびRT-PCR→PERVでは陰性であり、ヒトへの感染性は低いと思われた。さらに、PERVに対するワクチン開発を目指しPERVのenvタンパクペプチドに対する抗体作成を行っている。
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Research Products
(2 results)