2007 Fiscal Year Annual Research Report
節句を彩る植物の自律神経調整作用の評価と日本人的嗜好の抗ストレス芳香性素材の開発
Project/Area Number |
17500484
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小林 義典 Kitasato University, 薬学部, 教授 (60367414)
|
Keywords | 自律神経 / ストレス / リラックス / 香気成分 / 心拍 |
Research Abstract |
本研究は、日本人の生活リズムに適合し育まれた季節行事である節句に利用される植物の香気成分の自律神経調整機能を明らかにし、より多くの日本人の嗜好に合致し日本の豊かな四季や伝統を楽しみながらストレスを解消し生活習慣病を予防できる芳香性素材の開発を目的とする。 1.マウスにおける自律神経系調整作用を有する芳香性植物素材の探索 我々はこれまでに、白朮、松葉、白桃花、桃仁、艾葉、菖蒲根、竹葉、菊花から得られた揮発性抽出物のうち、白朮抽出物のみが、強制水泳試験における抗うつ作用(腹腔内・経口投与)、オープンフィールド試験における鎮静効果(香り負荷)を示すことを明らかにしている。本年度は、白朮の香り負荷による強制水泳試験における抗うつ作用を検討したが、顕著な効果は認められなかった。そこで、より穏やかなストレス負荷時の自律神経系の変化を計測可能にする目的で、自作した電極をマウス皮下に埋め込んで、無麻酔下での心拍変動解析を試みた。現在、電極の素材や形状等の最適化を終え、拘束、水浸、迷路など種々のストレス負荷時の心拍変動について解析中である。 2.ヒトにおける自律神経系調整作用の評価系構築 我々は、クレペリン検査にワイヤレス心拍測定系を利用した評価系を組み合わせ、心拍の変動解析を行なうことで、ヒトに持続的に単純作業を繰り返させた際のストレス状態とストレスから開放された際のリラックス状態とを明確に識別することの可能でかつ個人差が少ない指標として、心拍間隔変動係数や心拍パワースペクトルトータルパワー値を見出した。これらの指標を含め種々のパラメーターは2分程度の暗算ストレス負荷時とはかなり異なる挙動を示し、本系がヒトのストレス度やリラックス度を評価する指標としてより適していることが示唆された。本系においてコーヒーやGABAの摂取効果を明確に検出できたが、香り成分の評価については現在検討中である。
|