2007 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙による肺胞マクロファージの遺伝子損傷と染色体異常に及ぼす影響
Project/Area Number |
17500488
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
竹内 実 Kyoto Sangyo University, 工学部, 教授 (70257773)
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Keywords | 喫煙 / 肺胞マクロファージ / DNA損傷 / 染色体異常 / 遺伝子異常 |
Research Abstract |
喫煙による肺胞マクロファージの遺伝子損傷と染色体への影響について、前年度に確立した方法により、引き続き検討を加えた。マウスにタバコ自動喫煙装置(ハンブルグII)を用いて、一定量、一定期間(10日間)、モニターNo.2リファレンスタバコの主流煙を喫煙させ、喫煙マウスを作製した。喫煙後、マウスを麻酔死させ、主気管支を露出後注射器で主気管支内にPBSを1ml注入し回収する操作(気管支肺胞洗浄法)により肺胞マクロファージを採取し、DNAを抽出した。抽出したDNAを増幅し、さらに制限酵素でDNAを切断し、カラムを用いて、切断したDNAを精製した。コントロールとして非喫煙マウスから肺胞マクロファージを採取し、DNAを抽出後、同様の操作により切断してDNAを精製した。精製したDNAをそれぞれスペクトラムグリーンとスペクトラムレッドを用いて蛍光標識した。標識したDNAをCGHマイクロアレイにより、各染色体及び約43000個の遺伝子について、喫煙による影響を検討した。第1番から19番染色体及びX染色体について検討したところ、全ての染色体で喫煙による異常部位が検出され、喫煙による影響が認められた。異常部位は、限局した部位に認められず、広範囲な部位に及んでいた。また、喫煙が肺胞マクロファージのDNAを損傷していることも認められた。染色体の異常部位について、調べた遺伝子のうち、喫煙により異常が認められた遺伝子総数は280個で、そのうち153個の遺伝子の発現が喫煙により減少もしくは欠損しており、127個の遺伝子の発現が増加していた。これらの結果から、喫煙により影響を受けた染色体とその部位が特定出来、さらに喫煙により影響を受けた遺伝子も特定することが出来た。今後、喫煙により異常を受けた遺伝子の確認とDNA損傷部位との関連について検討を加える必要がある。
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Research Products
(10 results)