2005 Fiscal Year Annual Research Report
個体レベルでのレトロトランスポゾン研究のためのモデルマウスの開発
Project/Area Number |
17510158
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀江 恭二 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30333446)
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Keywords | レトロトランスポゾン / IAP / マウス |
Research Abstract |
本研究では、intracisternal A particle (IAP)レトロトランスポゾンをモデルとして、レトロトランスポゾンがゲノムへ与える影響を調べるためのモデルマウスを開発する。本年度は、我々が独自に単離した、培養細胞において転移活性が証明されたIAPレトロトランスポゾンを用いて、以下の3つのベクターに関するトランスジェニックマウスを樹立した。 (1)ベクター1---機能的なgag-pro-po1を発現する、完全長のIAP配列からなる。5'LTRのU3領域の代わりに、サィトメガロウィルスのエンハンサーとベータアクチンのプロモーターからなる強力なハイブリッド型プロモーターを用いた。マウス生体内での転移を最大限どの程度まで高められるかを知るために有用と考えられる。転移の検定には、GFPを用いる。 (2)ベクター2---点変異によってgag-pro-polの産生が阻害されている。このため、転移を起こすためには、gag-pro-polが供給される必要があり、内在性のIAPの活性を検定するのに有用と予想される。 (3)ベクター3---サイトメガロウイルスのエンハンサー、ベータアクチンのプロモーター、ベータ・グロビンイントロンからなる強力なハイブリッド型プロモーターによって、gag-pro-polを恒常的に高発現させるベクターである。このベクターを有すマウスを、ベクター2を有すマウスと交配すると、ベクター2の転移が誘発されると予想され、ベクター2の機能を検定するのに有用と考えられる。 これまでのところ、これらのトランスジェニックマウスでは、IAPの転移は認めていない。このことから、ホストの細胞によってレトロトランスポゾンの活性が抑えれられている可能性が考えられた。今後は、この点について解析を進める中で、レトロトランスポゾンとゲノムとの相互作用を明らかにしたい。
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