2005 Fiscal Year Annual Research Report
1910-20年代東京市公立小学校における教育改造
Project/Area Number |
17530552
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土方 苑子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50099909)
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Keywords | 新教育運動 / 公立小学校 / 新学校 / 教育方法 / 都市化 / 教員研修 / 自学主義 / 教育計画 |
Research Abstract |
本研究は、旧東京市の公立小学校に所蔵されている学校文書を中心的に用い、大正期に新教育を行った学校とそうでない公立小学校においてともに1910年頃から起きていた教育改造運動に焦点を当て、そのなかから新教育運動といわれるものの特徴およびその意義を明らかにしようとする研究である。これまですでに40数校の小学校調査をおこなっている。今年度は「個人情報保護法」の影響により、これまでのような比較的自由に調査をさせていただくことが難しい学校が増えてきたことから、収集ずみの史料の検討をかなりの程度行ってから、本研究にとって必須の史料から重点的に調査させていただくことを計画した。これまでの蓄積で学校文書の類型がある程度認識されるようになったということも、片端から調査するという方法を修正する一つの理由である。公立小学校でおこなわれた新教育を明らかにするために、これまでに収集してきた学校文書から、旧浅草区の台東小学校、台東育英小学校、富士小学校、平成小学校などの文書を中心に読み進めている。 また新学校を標榜していない公立小学校として文京区林町小学校の史料を収集、詳細に検討を始めた。林町小学校の史料はマイクロフィルムで22本程度、15000コマ程度ある。同校は1901年から東京市が設立を開始した貧困者対策の市立特殊小学校の一つで、1910年に設立された。しかし家庭調査などをみると1920年代から貧困者ではない地域の子どもが多数在籍しており、本来の性格を変化させている。とはいうものの、初代藤岡真一郎校長のもと様々な教育改革の試みをおこなっている。 今後引き続き、以上の二つの系列の学校文書の解読を進行させながら、重点的な調査と網羅的な調査との両方向で史料調査も進めたいと考えている。
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