2006 Fiscal Year Annual Research Report
近世日本における地域の文字学習文化に関する文献・史料・史蹟の総合的な調査と研究
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17530571
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
梅村 佳代 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (10085318)
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Keywords | 寺子屋 / 筆子中 / 年季奉公 / 手習い稽古 / 子どものライフサイクル / 学区取締 / 「学制」期の小学校 / 「学制」期の学習内容 |
Research Abstract |
平成18年度の研究実績は以下のとおりである。 1.2006年7月18日に共著書発刊。綾部恒雄監修・福田アジオ編『結衆・結社の日本史』(結社の世界史1)[山川出版社 全頁数343頁]において、筆者は「寺子屋と筆子中」(pp.97-107)を分担執筆した。この共著書論文において現在の寺子屋・筆子塚研究の到達点と論点整理を行った。 2.2006年9月20日共著書(卒論指導実践書)発刊。本誌は奈良教育大学教育学・教育史研究室編集の年報『奈良教育史研究』第12号(全頁数288頁)において、学部生の卒業論文三本と梅村佳代「近世後期、子ども(男児)の学びと奉公と生活史(その2)-伊勢国寺子屋「寿硯堂」の278人の事例をもとにして-」を執筆・掲載した。本論文では伊勢国「寿硯堂」の手習い子が修了後に年季奉公として江戸や大坂・京都の大店に奉公人として雇用され、何回もの「登り制度」を修得して一人前に成っていくコースを江戸時代の学びの後のライフコースとして位置づけた。 3.2006年11月30日に『奈良教育大学紀要』第55巻第1号に論文発表。テーマは「『学制』期の小学校創設と子どもの学習内容の検討-三重県朝明郡大矢知学校創設と伊藤家の子どもの事例を中心として-」(pp.1-10)である。本論文では近代初期「学制」期の小学校創設の経過と学区取締の役割、そこに入学した子どもの学習内容について三重県朝明郡大矢知学校創設の事例をとらえ、そこに早期に就学した山村の伊藤理三郎の学習生活と内容を検討した。 4.日本歴史学会編集『日本歴史』第697号(2006年6月号pp.99-101)において「書評と紹介」が掲載された。取り上げた書籍は、丹和浩著『近世庶民教育と出版文化-「往来物」制作の背景-』(近世史研究叢書)である。近世庶民教育史における手習い稽古手本「往来物」の制作意図と出版文化背景の考察について論評した。
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Research Products
(3 results)