Research Abstract |
平成19年度は,各種マイクロ物質の形状に応じた新規操作法を引き続き検討するとともに,これら操作法と被操作対象物の実時間画像処理による特徴抽出法の融合化による操作.配置の自動化手法について検討し,以下の結果を得た. 1.非球状の珪藻,棒状のウイスカを一般化ハブ変換を用いて実時間で顕微鏡画像から検出し,検出したこれら微小物に時分割光ピンセット法を用いて生成した多点光ピンセットビームを照射することで自動的に安定して捕捉し,その後,配向姿勢を制御しつつ移動させることに成功した.また,捕捉点数を変えることで,珪藻の安定した3次元的な捕捉姿勢を変更できること等も明らかになった.さらに,ガルバノミラーを利用してレーザ光の照射位置を高速に制御することで,PDMS製のマイクロ流路中を流れるマイクロビーズ等を異なった位置に配置した回収用ウェルに能動的に分別できることを実証した.これら結果により,実時間画像処理と光ピンセット法の統合による顕微鏡下のマイクロ作業の自動化の可能性と有効性を実証することができた. 2.ひも状の1分子DNAを塊状に試薬を用いて可逆的に形状を変換することで,光ピンセット法によりサイズごとに分別できる方法を提案し,有効性を実証した.また,昨年度問題点として残された3ビーム光ピンセットシステムでの1分子DNAの観察については,蛍光励起用レーザ光の強度の改善,最適なサンプルおよび染色濃度を精査することで,鮮明な画像として観察できるようになったが,ひも状の1DNAの端点を基板に固定していない状態,すなわち浮遊状態の1分子DNAをナノビーズ集積法を用いて手作業で捕捉するのは非常に困難であり,2点以上の捕捉による引き延ばし・切断の可能性を実証することはできなかった.しかし,観察系,サンプルの最適条件が明らかになったので,来年度以降に画像処理による自動捕捉等により引き続き検討したい.
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