2005 Fiscal Year Annual Research Report
総合診療・プライマリケア領域におけるうつ病性障害と健康関連QOLとの関連
Project/Area Number |
17590603
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
松島 雅人 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (50246443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
忽滑谷 和孝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00218257)
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Keywords | 臨床 / 総合診療 / プライマリケア / うつ病性障害 / QOL |
Research Abstract |
本学附属病院総合診療部の初診患者に,BDI-II (Beck Depression Inventory-Second Edition)日本語版,SF-36(Short Form-36)日本語版による質問紙調査を行った.BDI-IIは米国精神医学会のうつ病診断基準によるうつ病性障害の評価尺度であり,13以下が極軽症,14以上が軽症,20〜28が中等症,29〜63が重症のうつ病性障害の疑いとなる.SF-36は生活関連QOLの質問票で,身体機能,日常役割機能(身体),体の痛み,全体的健康感,活力,社会生活機能,日常役割機能(精神),心の健康の8つの下位尺度と,身体的,精神的サマリースコア(PCS,MCS)により構成され日本人の国民標準値を50とした偏差得点として表すことができる. 調査を終了した111名(男/女:51/60名,年齢39.4±14.5歳)のうちBDI-II 14以上の軽症以上のうつ病性障害疑い例は22名であった.軽症以上のうつ病性障害疑い例(D群)とそれ以外(N群)のPCS,MCSは,PCS(D vs. N):35.9±13.2vs.50.7±8.5,MCS:33.3±10.1,vs.48.3±9.4で,ともにD群で有意に低かった.さらに,PCS,MCSそれぞれにおいて極軽症〜重症うつ病性障害(疑い)の4群間の差を検討したところ,PCS,MCSともに極軽症の群と軽症の群の間において最も大きな低下を認めた.8つの下位尺度ではすべてにおいてD群で有意に低下していた. プライマリケア領域でのうつ病性障害(疑い)の存在とQOLの低下には有意な相関がみられ,BDI-IIの重症度分類における極軽症の群と軽症の群の間での低下が特に顕著である可能性が示された. 来年度は,さらに対象者数を増やしひきつづき検討予定である.
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