2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of comprehensive identification of spontaneous mutations based on whole genome sequencing applicable for the assessment of low-dose mutagens.
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17H00789
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
権藤 洋一 東海大学, 医学部, 特任教授 (40225678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 穣 東海大学, 総合医学研究所, 特任教授 (10146706)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自然発生突然変異 / ゲノム解析 / ミュータジェネシス / 次世代リスク評価 / 遺伝学 / 進化学 / 次世代シーケンシング / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の成果是正も含め、発生初期の高変異率や停止コドン抑制の新たな分子機構など学会などで発表した。2019年度はさらに大きな目的である遺伝的背景の異なる条件下での自然変異大規模WGSデータを得た。これまでマウスゲノム参照配列である世界標準系統C57BL/6Jを中心に解析してきた。今回ゲノム配列が1%以上も異なる日本産MSM/Ms系統の大規模解読を完了した。数世代の兄妹交配で変異を蓄積したMSM系統親の小規模解析から変異率の20%減少が示されていたので、今回、継代が進みさらに蓄積された同腹6個体のWGSを完了しビッグデータを得た。また6匹の雌雄両親ゲノムも解読し「拡張トリオ解析」を実現した。予備実験では兄妹交配蓄積のためマルコフ過程に基づく変異率推定値しか得られなかったが、親子間で直接大規模検出することも可能となったため高精度な変異解析が実現する。またマルコフ過程に依存した変異率推定の実験実証にも成る。MSM系統の極めて高い発がん抵抗性が、自然変異率20%減少がその一因となることを直接実験証明することにつながる。 もう1つの大きな目的である構造変異structural variation (SV)の高精度検出においても、2つの全く新しい技法によって網羅的大規模解析が実現した。ひとつは、BioNano社の Saphyrシステムを用いた数Mbpの1分子長鎖全ゲノムマッピングwhole genome mappinng (WGM)データを得た。また、もうひとつはMGI社のsingle tube long fragment reads (stLFR)データである。いずれも、これまで解析してきたC57BL/6Jの同じマウスゲノムDNAを用いたデータであり、すでに得ているイルミナshortreadだけでなく、PacBioやNanoporeデータとも直接比較解析可能となり、単にSV検出に留まらず、すでに得ている参照配列の見直し6000候補箇所の実証にもつながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的である高速高精度自然変異検出系をすでに確立し、その過程で「自然変異の25%は発生初期32細胞胚期までに生じている」「停止コドンをもたらす1塩基変異でも定型外翻訳で致死変異が回避される」など当初の計画予想を遥かに超えた成果を、環境変異原研究や次世代リスク評価系開発に留まらず、実験進化学や集団遺伝学分野方面でもあげ、すでに国内外に成果を公開している。2019年度には【研究実績の概要】にも記載したとおり、本来の目的である遺伝的背景の異なる系統に置ける大規模解析と、構造変異を検出するWGMおよびstLFRビッグデータが加わるなど新たなビッグデータも得て、これも当初の計画を遥かに上回るペースで進んだ。また、1950~1980年米国メガマウスプロジェクトとして放射線などの次世代変異リスク大規模解析システムとの比較を「素粒子論29巻」に発表し、放射線生物学を中心とする研究コミュニティーから注目され、日本放射線影響学会にて招待講演を行うとともに、新たに発足したJSPS産学協力放射線の利用と生体影響第195委員会の第一部会委員として10月1日付けにて就任した。本来の目的の、微量変異原が次世代に及ぼすリスク評価のための「コントロールとなる自然発生で生じる突然変異を大規模に検出しうる変異解析系をマウスをモデルとして確立する」をすでに達成し国内外に広く認められた。独自に開発した完全遠縁交配法、簡便な兄妹交配法、さらに、拡張トリオ解析など駆使して、全ゲノムシーケンシング(WGS)法によって数百から千個ほどの変異を1実験で検出できる系をすでに確立し、この一連の成果に基づき、標準系統マウスではどの個体にも平均14個強の(どちらの親にもなかった)新たな自然変異が生じていることを解明した。そこで微量変異原解析整備にも着手した。まず東海大医学部RI管理区域内に動物実験室を整備し、低線量放射線を生涯被ばくさせる変異解析系を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずこれまで得られたビッグデータを、すでに確立しているバイオインフォマティクス解析パイプラインとリナックスサーバシステムを駆使して変異検出と変異率推定および変異スペクトルの比較解析など予定通りに大規模かつ高精度に進める。さらに、前倒しして、微量放射線に生涯被ばくさせた予備解析にも着手する。半年ほどで10マイクロGy/時程度の微量放射線に2~3世代生涯被ばくさせた微量放射線被ばくマウス群を得て有意に変異が誘発されるかどうか検出する系を立案し「日本放射線影響学会」「放射線の利用と生体影響第195委員会」などで紹介提案した。変異検出解析系は、すでに、発がん抵抗性のMSM系統では20%変異率が「減少」することも予備実験だけから得るなど変異率上昇だけでなく減少も検出できるほど鋭敏な系となっている。また、被ばくマウス個体を半永久的に保存する超低温フリーザーなども動物実験施設を新たに整備したRI管理区域内に設置した。さらには、放射線科学を専門とする産学協同「放射線の利用と生体影響第195委員会」の委員として参画し、放射線生物学の専門家に加え、物理学、数学、統計学、放射線医学などの専門家の支援を受ける体制も確立した。国際的にはヒトゲノムにおけるWGS解析標準化を目指すMAQCコンソーシアムのメンバーでもあり国内外に研究者ネットワークも構築し支援が得られる体制も構築できたので活用していく。こういった研究基盤をさらに拡充し、微量残留放射線問題解決につながる高速高精度な次世代リスク評価系開発確立にむけ、さらに磨きをかけて行く。
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Remarks |
JSPS産学協力ゲノムテクノロジー第164委員会委員/JSPS産学協力放射線の利用と生体影響第195委員会委員/放射線影響研究所科学諮問委員会委員 アウトリーチ活動:東京都立日比谷高等学校「Genome Editing now and future英語にてハンズオン体験講座」2019年7月24日/出前授業東京都荒川区立第三中学校「おもしろ探究授業ゲノムといのち」2019年12月14日
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Involvement of Rev1 in alkylating agent-induced loss of heterozygosity in Oryzias latipes.2020
Author(s)
Fujikawa Y, Ishikawa-Fujiwara T, Kuo T, Shinkai N, Shoji T, Kawasaki T, Kamei Y, Sakuraba Y, Sato A, Kinoshita M, Gondo Y, Yuba S, Tsujimura T, Sese J, Todo T
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Journal Title
Genes to Cells
Volume: 25
Pages: 124-138
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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