2018 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental and numerical studies on the Segre-Silberberg effect
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17H03176
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
関 眞佐子 関西大学, システム理工学部, 教授 (80150225)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Segre-Silberberg効果 / 慣性 / 粘弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,流路内層流に浮遊する粒子が,慣性に起因する揚力を受けて流路下流の断面内で特定の位置に集中する現象であるSegre-Silberberg効果について,様々な条件下での粒子集中位置の探索とその決定因子の特定を目指している.2018年度は,Segre-Silberberg効果の主要因子として,粒子の変形性と媒質の粘弾性を考え,この2つの因子の粒子分布への影響について調べた. (1) 粒子変形性の影響:変形粒子としてヒト赤血球を用い、円管および矩形管に赤血球サスペンションを流して、流路下流における赤血球分布の計測を行った。正常赤血球および薬剤処理により変形性を変化させた赤血球を用いた。その結果、低いレイノルズ数の場合、正常赤血球では流路下流に行くにつれ管中心軸付近に集まるのに対し、変形性を劣化させた赤血球および剛体球粒子の場合は管断面にほぼ一様に分布したままであった。レイノルズ数が大きくなると、正常赤血球においても剛体粒子と同様に管断面内で円環上に集まる現象が観察された。これは慣性に起因することが埋め込み境界法に基づく数値シミュレーションにより確認された。 (2) 媒質の粘弾性の影響:界面活性剤であるCTAC(Cetyltrimethylammonium Chloride)と対イオンとしてNaSal(サリチル酸ナトリウム)の水溶液を粘弾性媒質として用いた.様々な濃度のCTAC水溶液に球形粒子を浮遊させ、矩形管流路に流して粒子分布を計測した。低いレイノルズ数の場合には粒子は管中央に集中したのに対し、レイノルズ数が400程度になると、管断面内の面心位置と角付近に粒子集中が見られ、媒質がニュートン流体の場合と同様の粒子分布となった。FENE-Pモデルに基づく数値シミュレーションによっても同様の粒子挙動が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粒子の変形性と媒質の粘弾性の管内粒子挙動への影響について、おおむね順調に研究することができた.ただし,媒質の粘弾性の影響に関して、実験データを無次元パラメーターで整理するために、CTAC水溶液のレオロジー計測を行ったが条件により一定した値が得られない場合があった。これは、界面活性剤CTACが紐状ミセル構造をもち、せん断速度に応じてせん断誘起構造(SIS)と呼ばれる重合体を形成することなどにより、複雑なレオロジー特性を示すためと考えられる。そこで、今後は高分子溶液を用いた実験も行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画度通り、粒子の変形性と媒質の粘弾性の管内粒子挙動への影響について引き続き研究を進めるとともに、粒子濃度の影響等についても調べたのち、研究のまとめとして、得られた粒子分布の種類とその決定因子の考察を行う。媒質の粘弾性の影響に関しては、高分子化合物であるPVP(ポリビニルピロリドン)の水溶液を媒質として用いる。
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Research Products
(18 results)