2017 Fiscal Year Annual Research Report
多能性幹細胞由来心筋細胞の細胞周期制御のための統合的アプローチ
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17H04176
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 善紀 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (20447965)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞周期 / 心筋細胞 / 多能性幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は細胞周期の制御法について、作製したFucci発現細胞周期レポーターiPS細胞株から誘導した心筋細胞を用いたスクリーニングの結果、細胞周期を活性化する化合物と因子のグループを同定した。化合物に関しては投与する時期や濃度などの比較検討により、細胞周期活性化化合物・因子の効果には時期特異性があることが明らかになり、我々のスクリーニング系で見出した化合物群は心筋細胞分化誘導の後期に細胞周期促進効果が強く見られた。さらに条件検討を進め、細胞周期促進効果が最も見られる最適条件を明らかにした。さらに、細胞周期促進化合物で処理をした心筋細胞における細胞周期プロファイル、遺伝子発現の変化、細胞増殖効果などの評価を行った。また細胞周期活性化制御因子には時期特異性があることが明らかになったため、異なる時期に細胞周期活性化効果を持つ因子を探索するための系を構築した。 Fucci発現レポーターiPS細胞株を用いて細胞周期の異なる心筋細胞を選別し、網羅的遺伝子発現解析を行った。iPS細胞由来分化心筋細胞は時間の経過とともに大部分の細胞において細胞周期が不活性化していくが、遺伝子発現の比較により、細胞周期が活性化した心筋細胞と不活性化状態の心筋細胞のそれぞれで特異的に発現している遺伝子を同定した。 さらに、同定した因子・化合物で処理した心筋細胞のin vivoでの振る舞いを評価するため、免疫不全マウス(NRGマウス)の心筋梗塞モデルへの心筋細胞移植実験を開始し評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って心筋細胞に対する細胞周期活性化化合物・因子のin vitroでの評価が進められている。また、免疫不全マウスを用いた細胞移植モデルによるin vivoでの評価も開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に進んでいるため、研究計画を継続する。 心筋細胞の細胞周期を活性化する化合物・因子に関しては引き続きin vitroでの遺伝子発現の評価など含め特性解析を進めるとともに、in vivoでの解析として免疫不全マウスの心筋梗塞モデルにおける細胞移植法により移植した細胞の挙動の評価を進める。また、これまでの検討において細胞周期促進化合物・因子は時期特異性があることが明らかになったため、当初予定されていなかったが、異なる時期での制御因子についても探索および解析を行うことを計画している。 また細胞周期の不活化に関してもこれまでのスクリーニングで見出された化合物・因子について心筋細胞への作用に関して解析を進める。
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Research Products
(7 results)