2017 Fiscal Year Annual Research Report
光イメージングを駆使した冬眠がん細ニッチのノンバイアス解析で拓く治療戦略
Project/Area Number |
17H04989
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
口丸 高弘 自治医科大学, 医学部, 講師 (10570591)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 骨転移 / 光イメージング / ニッチ / 冬眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの骨髄において、がん細胞の冬眠・増殖状態を制御する微小環境(骨転移ニッチ)を構成する間質細胞を蛍光標識するための遺伝子コード型のプローブ開発に取り組んだ。具体的には、分割した緑色蛍光タンパク質(GFP)を用いた既存技術であるGRASP(GFP reconstitution across synaptic partners)をベースにして、がん細胞-間質細胞の相互作用においてより効率的に機能する分子設計を目指した。GRASPは、シナプス前細胞とシナプス後細胞の細胞膜上にGFP断片を提示し、約20 nmのシナプス間隙においてGFP断片を再構成する分子設計になっている。一方、がん細胞は、細胞膜間距離が50 nm 以上になる接着接合や接着斑を含むヘテロな接着様式を間質細胞との間に形成することが知られている。それを裏付けるように、既存のGRASPでは、がん細胞と相互作用する間質細胞が効率的にGFP標識されなかった。つまり、がん細胞-間質細胞の細胞間相互作用において間質細胞を効果的にGFP標識するためには、既存のGRASPより遠位の細胞膜上にGFPを再構成する分子設計が必要になる。そこで、細胞膜上へのGFP断片の提示に用いるリンカーの構造様式を改良したGRASPを多数試作した。それらを培養細胞に一過性導入し、2次元もしくは3次元共培養系において、共焦点蛍光顕微鏡観察やフローサイトメトリによって、GFPの再構成効率について解析した。その結果、リンカーを伸長することで、GFPの再構成効率が向上することが明らかになり、がん細胞と空間的近位の位置で相互作用する間質細胞を効率的にGFP標識可能な改良型GRASPの分子設計に指針を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他機関からの動物の搬入過程に予期せぬ問題が生じ、トランスジェニックマウスの樹立が遅延したことに加え、がん細胞の近位の間質細胞の効率的なGFP標識に分子設計を最適化したGRASP必要となったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
改良型GRASPをレンチウィルスによってがん細胞や様々な種類の間質細胞に安定導入し、共培養系を用いて改良型GRASPの機能特性を評価する。また、任意のタイミングで改良型GRASPを駆動するために、Tet-On-改良型GRASPを構築する。改良型GRASPレポーターを全身組織に発現するトランスジェニックマウスの作出に取り組む。
|