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2017 Fiscal Year Annual Research Report

教育委員会による学校への関与が教員の専門的職能開発に与える影響

Research Project

Project/Area Number 17H06499
Research InstitutionHirosaki University

Principal Investigator

三浦 智子  弘前大学, 教育学部, 准教授 (20803224)

Project Period (FY) 2017-08-25 – 2019-03-31
Keywords教員の職能開発
Outline of Annual Research Achievements

教育委員会による学校への関与が教員の専門的職能開発にもたらす影響に関して、教員の職能形成あるいは教育委員会による学校管理についての先行研究を理論的に検討するとともに、自治体教育行政関係者等に対するヒアリングなどの予備調査を行い、分析枠組みの構築を試みた。
教員の専門的職能開発を支える手段として、「教員間の協働」は多く考察の対象とされてきたものの、教員の専門的職能それ自体の態様を把握するための指標の設定は容易ではない。教育行政の役割は教育を成立させるための条件整備(外的事項)に限定されるべきであり、教育の内容や方法など(内的事項)については教師の自由に委ねられるべきであるとした内外事項区分論に対し、これを批判的に捉える立場にあっては、教員の教育活動を内的事項に、教員の能力管理を外的事項に位置づけることによって、教育行政における直接責任の強化を図る旨を主張する論者もある。教育委員会に配置される指導主事が行うところの学校における教育活動に対する指導助言など教育指導事務が、教員の人事管理事務に影響をもたらすことのないよう、戦後の指導主事制度は設計・運用されてきたとされる。しかし、教員組織内部における協働的な教育活動の中で教員の専門的職能が開発されることを前提とするならば、教員の人事配置の如何によって「教員間の協働」の態様も左右されるところとなり、教育指導事務と人事管理事務とを区別して実施することには限界もあると言えるのではないか。教員の専門的職能開発を支える観点から、教育委員会による学校に対する指導助言と教員の能力管理の関係性を問い直す必要があるものと考えられ、主に指導主事の職務の態様に注目し、これが教育委員会による学校管理の在り方にもたらす影響を明らかにするための分析枠組みについて検討を深めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成30年度に実施する質問紙調査及びヒアリング調査に備え、自治体教育行政関係者等に対するヒアリングなど予備調査を実施した。また、教員の専門的職能開発を支える学校組織内部における「教員間の協働」に加え、教育委員会による学校に対する教育指導事務及び教育委員会による教員の育成や人事管理の態様にかかる先行研究の理論的検討を踏まえ、教育委員会による学校への関与が教員の専門的職能開発にもたらす影響に関する分析枠組みの構築を図るとともに仮説形成を試みるなど、調査データの収集・分析のための準備作業を進めることができた。

Strategy for Future Research Activity

教員の専門的職能開発を支えるという視点から、教育委員会の学校に対する関与の在り方に注目し、教育経営組織における人事管理の仕組み及び指導主事の学校に対する指導助言など教育指導事務の態様を明らかにするとともに、そのための教育行政職の力量形成の在り方等について考察を深める。
都道府県及び市町村教育委員会に対する質問紙調査及びヒアリング調査により得られたデータを分析し、教員の協働的な専門的職能開発を支えるという点において、教育委員会による教員の人事管理や学校に対する指導助言はいかなる態様であることが望ましいのか、その妥当性を測定する際の指標を探り、実態把握に努めるとともに、妥当性を規定する制度的・経営的要因について明らかにする。学校における教育活動に対し指導助言などを行う指導主事の力量形成及びその発揮が組織経営面において担保されており、また、指導助言などを通して教育委員会が管轄下の学校・教員にかかる情報を得やすい環境が整備されている自治体の学校では、教員の人事管理も適切に行われ、その専門的職能開発がより促進されるものと考える。
なお、教育委員会による学校への関与の妥当性を分析するにあたっては、学校種や教員の年齢構成、非常勤講師の割合、学校区の地域特性など、学校の属性に考慮する必要がある。また、教育委員会による学校への関与の妥当性を規定する制度的・経営的要因について検証する際には、自治体の教育政策決定過程についても視野に入れることが求められる。教員の人事管理の在り方については、少子化社会における教員人事政策が抱える課題に対するアプローチの方策によっても左右されるであろうし、現在、教育委員会制度は大きな転機を迎えており、各自治体の教育行政に対する首長の関与がより強化される傾向がある。これらの点を踏まえ、教育委員会と首長との関係性、自治体の地域特性や政策課題等にも考慮した分析を行う。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 教員間の協働が学校の「民主性」にもたらす影響―教員及び保護者を対象とした質問紙調査結果の分析を通して―2018

    • Author(s)
      三浦 智子
    • Journal Title

      弘前大学教育学部紀要

      Volume: 119 Pages: 127-135

    • Open Access

URL: 

Published: 2018-12-17  

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