2017 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞からの前顆粒膜細胞の誘導 -体外培養系での卵子獲得を目指して-
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17H06718
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
宮崎 有美子 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 医員 (10808710)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 顆粒膜細胞 / SF-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、顆粒膜細胞株(KGN細胞)に転写因子SF-1/Ad4BPを導入し、cAMP処理することにより成熟顆粒膜細胞を分化誘導する系を構築した。今回は、ヒト羊膜から間葉系幹細胞を分離し、in vitroで顆粒膜細胞の分化過程を再現できる系を確立することを試みた。患者の同意を得て分娩時に採取した胎盤から羊膜を採取し、コラゲナーゼ処理したのち、間葉系幹細胞のマーカーであるCD105, CD90, CD73でセルソーティングして間葉系幹細胞(hAMMSC)を分離した。hAMMSCに、転写因子SF-1/Ad4BPをアデノウイルスを用いて遺伝子導入したところ、細胞は多くのステロイドホルモン産生系の遺伝子(StAR, P450scc, HSD3β2, P450C17, HSD17β3, P450C21)を発現する細胞に分化した。一方、hAMMSCは、顆粒膜細胞のマーカであるFSHRやCYP19A1(アロマターゼ)は発現していなかった。羊膜は、ヒトへの侵襲を伴うことなく安価かつ多量に入手可能であるというメリットがあり、更に、hAMMSCは比較的長期間の培養と保存が可能であることから、今回確立した系は、顆粒膜細胞をin vitroで分化誘導する第一歩として、大きな成果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト羊膜細胞からin vitroで間葉系幹細胞からステロイド産生細胞を分化誘導する系を確立する当初の目的を果たしたことから、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
SF-1導入にcAMP刺激を加え顆粒膜細胞への分化誘導を試みる。cAMP刺激により、分化が黄体細胞まで一気に進んでしまう場合は、cAMP刺激の濃度を調整したり、顆粒膜細胞の分化に抑制的に作用する卵子由来の成長因子GDF9・BMP15を添加することで、黄体細胞→顆粒膜細胞への脱分化を試みる。顆粒膜細胞で特異的に発現する転写因子FOXL2は、ステロイド関連酵素の遺伝子において、プロモーター活性を抑制する。そこで、アデノウイルスを用いて転写因子SF-1とFOXL2を導入する。マーカー遺伝子の発現が確認されれば、その遺伝子発現パターンを、DNAマイクロアレイを用いて、既存の顆粒膜細胞株(KGN細胞)と網羅的に比較し、細胞の分化状況を検証する。
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