2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J00596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田内 大渡 東京大学, 数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 実球多様体 / 実簡約群の無限次元表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gを実簡約群、Hをその代数部分群、QをGの放物型部分群とし、次の三条件を考える。(iQ)G/H上の関数空間がQから誘導されたGの表現に関しては重複度有限となる。(iiQ)G/H上にQ開軌道が存在する。(iiiQ)G/H上のQ軌道の個数が有限である。QがGの極小放物型部分群Pである場合これら三条件は全て同値となることが知られており、このときG/Hは実球多様体であると呼ばれる。一般の放物型部分群Qに対してこれら三条件の関係性を問題として考える。この問題にたいして(iiiQ)「G/H上のQ軌道の個数が有限である」ならば(iiQ)「G/H上にQ開軌道が存在する」が成り立つことはすぐにわかるがその逆(iiQ)⇒(iiiQ)は成り立つとは限らない。また(iQ)ならば(iiQ)が成り立つことも知られている。さらに昨年度の私の結果より次のことが分かっている。 定理1「GをSL(2n,R)としQをG/Qが2n-1次元実射影空間RP^{2n-1}と同型になるようなGの極大放物型部分群Qとする。このときもしnが2以上であるならば、Gのある代数部分群Hであって、G/Q上のH軌道が有限であるが、G/H上の関数空間がQから誘導されたGの表現に関しては重複度無限となるものが存在する。すなわち(iiiQ)を満たす(特に(iiQ)も満たす)が、(iQ)を満たさない例が存在する。」 研究の目的は上記三条件の残りの関係性である(iQ)と(iiiQ)の関係性を決定することである。この目的に対して当該年度、私は次のような結果を証明した。 定理2「Hを実簡約群Gの代数部分群とし、QをGの放物型部分群とする。もしG/Q上の向き付け可能なH軌道が無限個存在するならばG/H上の関数空間がQから誘導されたGの表現に関しては重複無限となる。すなわち向き付きに関する仮定の下では、(iQ)が成り立てば(iiiQ)が成り立つ。」
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Gを実簡約群、Hをその代数部分群、QをGの放物型部分群とする。研究目的である(iQ)「G/H上の関数空間がQから誘導されたGの表現に関しては重複度有限となる」と(iiiQ)「G/H上のQ軌道の個数が有限である」の関係性について向き付けの仮定の下しか決定することができなかたのでやや遅れていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Gを実簡約群、Hをその代数部分群、QをGの放物型部分群とする。研究目的である(iQ)「G/H上の関数空間がQから誘導されたGの表現に関しては重複度有限となる」と(iiiQ)「G/H上のQ軌道の個数が有限である」の関係性について向き付けの仮定の下では決定することができた。しかしこの問題の解答としては向き付けの仮定は外すことができるのが理想的である。今後はこの仮定を外すことを考えていきたいと計画している。その推進方策としては具体例においてG/Q上のHによる軌道分解とそのQから誘導されたGの表現に関しての重複度を計算していくことが一つあげられる。またその重複度の計算の際には偏微分方程式系を代数的に扱える理論であるD加群の理論を用いて計算することができるので、D加群に関する理論の理解をより深めて研究を進めることも推進方策としてあげられる。
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Research Products
(4 results)