2017 Fiscal Year Annual Research Report
マラソンレースによる筋損傷を軽減するプレコンディショニング法の実証的検討
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17J01363
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高山 史徳 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | マラソン / 市民ランナー / 筋損傷 / 最大筋力 / 最大酸素摂取量 / 走の経済性 / 繰り返し効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、研究1(ランニングによる筋損傷を軽減するプレコンディショニング法を実証)に関する実験を行った。また、平成30年度に実施予定である研究2(プレコンディショニング法の有効性を検討)の予備実験として、実際のマラソンレースに出場した市民ランナーを対象として、トレーニング状況、生理学的指標とレース後の血液指標ならびに最大筋力の変化との関係を検討した。 研究1に関する実験では、学生市民ランナーを対象としてマラソンレースをシミュレートした筋損傷誘発運動の2週間前にプレコンディショニング法(10分間の下り坂走)を実施することで、筋損傷誘発運動後の顕著な筋損傷が抑制でき、2日後の走パフォーマンス低下を防げることを明らかにした。さらに、プレコンディショニング法の実施から1日後、2日後の最大筋力には有意な低下が認められなかったことから、軽負荷なプレコンディショニング法によって、その後の筋損傷の軽減や走パフォーマンス低下の抑制を実証した。 研究2の予備実験として実施した研究では、学生市民ランナーを対象として、マラソンレースの1-2週間前にトレッドミルテストによって生理学的指標(最大酸素摂取量、走の経済性)の測定を行った。また、レースの前、1日後、2日後、3日後にかけて血液指標、最大筋力を測定した。その結果、レース後の筋損傷指標(乳酸脱水素酵素、クレアチンキナーゼ、最大筋力)は、レース前3ヶ月間の総走行距離、1回の練習で走った最長距離といった変数とは有意な相関関係がなかった。このことは、マラソンレース後の筋損傷を軽減するためには、筋損傷を抑制することに特化したトレーニングメニューが必要であることを示唆している。したがって平成30年度は、研究1で実証したプレコンディショニング法を用いて、その有効性を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究1(ランニングによる筋損傷を軽減するプレコンディショニング法を実証)に関する実験を遂行できており、次年度(平成30年度)に実施予定の研究2(プレコンディショニング法の有効性を検討)で用いるプレコンディショング法を確立している。また、研究2に関する予備実験も実施済みである。これらの成果の一部は、国際学会発表(査読あり)に受理済みである。以上の進捗状況から概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、研究2(プレコンディショニング法の有効性を検討する)に関する実験を遂行する予定である。研究2では、実際のマラソンレースに出場するランナーを対象に実験を予定しており、そのレースは11月に開催される。したがって、10月までに研究1に関する成果について学会発表(第69回体育学会での発表を予定)と論文投稿を行う。また、平成29年度に実施した予備実験の成果についても7月の国際学会(23rd ECSS Congress)で発表予定であり、終了後には論文投稿できるように努める。
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Research Products
(12 results)