2019 Fiscal Year Annual Research Report
ジル・ドゥルーズ『シネマ』読解を中心とした映像空間の本性の研究
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17J01509
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
福尾 匠 横浜国立大学, 都市イノベーション学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | ドゥルーズ / ベルクソン / イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究実施状況について、主だったものとして次の2本の論文を挙げることができる。ひとつめは「ドゥルーズ『シネマ』におけるイメージ概念の実践的価値」(以下①)であり、この論文では本研究がメインの研究対象とする『シネマ』の最も重要な概念である「イマージュ(イメージ)」について、ドゥルーズが参照しているアンリ・ベルクソンのイマージュ論との関係を論じたものだ。ベルクソンからドゥルーズにどのようにしてイマージュ概念が引き継がれているか考察するうえで、ドゥルーズと同じようにベルクソン研究から出発して映像論を論じているエリー・デューリングを比較対象として考察した。『シネマ』が出発点としているベルクソンのイマージュ論と『シネマ』以降のベルクソン論/映像論というふたつの視座から『シネマ』を位置づけ直すことで、ドゥルーズの議論をより立体的に考察することができた。 こうした問題設定から浮かび上がってきたのは、ドゥルーズがいかにして映画的イマージュから哲学的概念を引き出すための方法論を構築したのかということだった。それはいかにして芸術的イマージュがドゥルーズの用語で「思考のイマージュ」と呼ばれるものに生成するのかということに対応する。ドゥルーズは映画を「装置」として考える『創造的進化』のベルクソンからデューリングに至る系譜に抗って、あくまで『物質と記憶』で示されたようなイマージュの実践として映画をとらえていたが、それはたんに映画のありかたについての議論に関わるのでなく、ドゥルーズに固有の哲学的実践の態度に関わるものであることを明らかにした。これは本研究が主題とするドゥルーズにおける哲学と芸術の関係を考えるうえで重要な成果であったと考える。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)