2018 Fiscal Year Annual Research Report
自治領なき領域的自治の機能:ソ連解体期のクリミアと沿ドニエストルの比較研究
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17J02213
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松嵜 英也 北海道大学, 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 自治 / 分離 / 権力分有 / 旧ソ連 / クリミア / 沿ドニエストル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自治の領域単位を持たない「非自治地域」における領域的自治の機能を明らかにすることである。具体的には、ソ連解体期において、自治が権力分有の役割を果たしたクリミアと分離の機能を果たした沿ドニエストルの比較分析を通して、自治の機能の相違を生み出した背景を考察する。2年度目では、在外調査と学会報告、論文執筆を行った。 第1に、昨年度に引き続いて、客員研究員の資格を得て、ウクライナ大統領府属国家行政アカデミーで在外研究に従事した。キエフの議会図書館や国立歴史図書館などで、1990年代におけるクリミアの分離運動やウクライナ内政に関する資料を収集し、元外務大臣を初めとする政治家やムフティー、大学教授へのインタビュー調査を行った。5月にはモルドヴァに入国し、沿ドニエストルのティラスポリやベンデリ、ドゥボサルィを訪問した。 第2に、在外研究をもとにして学会報告を行った。リヴィウ国立工科大学では、「プラハの春」50年をテーマとするラウンド・テーブルに参加し、主に沿ドニエストルとクリミアの分離運動の比較分析について報告した。国際政治学会では、クリミアと沿ドニエストルの列柱政党の支持調達、国民国家形成の受容、外部関与の受容に着目して、黒海における自治国化と未承認国家化の分岐を説明した。ロシア・東欧学会では、2004年のオレンジ革命後のウクライナ内政を大統領と首相の執政部門内の紛争に着目して論じた。 第3に、学会報告をもとにして、論文を執筆した。クリミアと沿ドニエストルの比較分析については、ウクライナ大統領府属国家行政アカデミーの紀要への掲載が決定し、オレンジ革命後のウクライナの執政部門内の紛争については、学会誌『ロシア・東欧研究』への掲載が査読を通して決定している。また教科書向けにウクライナ政治全般について執筆し、それは『教養としてのヨーロッパ政治』への掲載が決まっている。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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