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2018 Fiscal Year Annual Research Report

正当化概念に関する包括的研究

Research Project

Project/Area Number 17J02698
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

木村 謙太  北海道大学, 理学研究院, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2020-03-31
Keywords統計的推論 / 科学モデル / 真理 / 真理概念 / 正当化 / アブダクション / 仮設演繹
Outline of Annual Research Achievements

研究計画調書において平成31年度の目的とした,「正当化やその結果として獲得される真理性が最も端的かつ典型的に問題となる、科学における正当化のプロセスに関して、とりわけ現代の殆どの科学的正当化手続きにおいて多かれ少なかれ用いられている統計的な「フィッティング」や「説明」という観点から、その特徴を整理する」に対応する以下の研究を実施した.
①統計的推論に関してしばしば議論となる「統計的推論は演繹か帰納か」という問題に関して、仮説演繹法的ピクチャーを用いることによって解きほぐし、どちらか一方のみが利用されているとして理解することが不適切であることを示した.
②統計学における最も大きな対立として位置づけられる「頻度主義とベイズ主義の論争」に関して、特に以下の二点における混乱が論争を深刻化・不毛化させていることを示した:
(1)「主観的」「客観的」「不確実性」「価値中立性」という概念群について、両立場ともに各概念を曖昧なままに扱うことが多く、それによってそれぞれの立場で各概念の意味を異なった仕方で扱うことが頻出している.
(2)「検定を用いるか否か」「頻度データの尊重」「広義の〈事前情報〉の重視」といった、幾つかのしばしばいずれか一方の立場を示す本質的テーゼであるかのように扱われてきた――すなわちいずれか一方の立場しか採用できないかのように扱われてきた――ものは、実際には本質的なものではない.
③特に統計的推論における「真理」概念に関して、カント、ポパーといった歴史上の哲学者や、ボルツマンやシュレティンガーのような歴史上の物理学者の著作から、統計的推論を理解する際に重要となりうる区別を引き出せることを示した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

昨年度の実績報告書における理由と重なるが,本研究を適切に実施するためには科学モデル及び統計モデルを中心的に扱う必要が生じたことから,平成29年度の前半ではとりわけ統計モデリングに関する習熟を果たす必要が生じ、その影響によって平成30年度においても研究の遂行が半年程度遅れているため.

Strategy for Future Research Activity

前年度において中心的に実施した研究調書中の目的(二)に対応する研究の継続及び成果報告を進めるとともに、平行して目的(三)に対応する研究を中心に実施していく.
目的(二)の達成のためには、とりわけ統計的推論において「真(真理)」の概念がどのように扱われているかを明確にするとともに整理が必要となる.調書に記載の通り申請者は,統計的推論に関わる議論において語られる「真」について,カントや物理学者ボーアなどの議論に現れる真理概念に関する二つの区別を援用することによって,しばしば統計学の文献においてこの二つの意味が混同して用いられていることを明らかにするとともに,この「真(真理)」概念の使われ方を整理することに成功した.本年度の前半においては,以上の成果を用いることによって,実際に代表的な幾つかの統計手法や,心理学や生物学における統計的推論を整理していく.
本年度の後半では、以上の研究を踏まえて目的(三)に対応する研究を行う.ここでは,とりわけ統計的な「フィッティング」の観点から倫理学上の議論を整理することが可能であることを示していく.特に,倫理学や政治哲学において最も激しく対立し続けている二大理論が,フィッティングという観点から極めてシンプルかつ建設的な整理が可能であることを明確にする.これによって,現代においてもしばしば為される幾つかの論争に関して,(1)より適切な論争の方向性の提示,(2)焦点を外した不毛な議論となっていることの示唆,(3)新たなる論点の提示,を行う.

URL: 

Published: 2019-12-27  

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